Dropboxによる、コンドリーザ・ライス元国務長官・国家安全保障問題担当大統領補佐官の取締役就任発表後、インターネットに動揺が走った。ブッシュ政権時代に捜査令状なしの傍受を支持した元政府高官が、データプライバシー議論の震源地にいるクラウドストレージ会社に適切なアドバイスをできるのか? しかも今のNSAとその監視プログラムという状況の中で。
テク系コミュニティーの多くの人々がこの選択に怒りを表した。NSAのPRISMプログラムのスライドで “coming soon” として名前を挙げられていたDropboxは、他のIT企業らと共に、政府のデータ監視法の改訂を要求している。
最低限言えるのは、就任発表の方法が不適切だったことだ。Dropboxもそれを認めている。今日(米国時間4/11)公開された短いブログ記事で、同社はこう説明した。「ライス氏の取締役就任によって[プライバシー方針が]何ら変わるものではないことを明確にすべきだった。利用者の権利とプライバシーに関する当社の責任は、われわれが下すあらゆる決断の中心をなすものであり、これは今後も変わらない」
問題は、この説明で同社への批判を鎮められるかどうかだ。
現在Dropboxは、同社のサービスを大型企業顧客、即ち、実入りの良い大きな市場向けに作り上げようとしている。一部ユーザーの噂によると、情報技術者の間に同サービスの利用をやめる動きがあるという。もっとも、そうした個人ユーザーの離脱は、Dropboxの成長にとって1日の丸め誤差にしかならない。
しかし、大企業の新テクノロジー採用に関わる購買判断を下すのは、大方がそうした人々だ。果たしてライス氏の登用は、その点でDropboxに不利益を与えるのだろうか。同社はいかなる妨げの可能性も新取締役の豊富な国際経験と知力が補って余りあることに賭けている。彼女の政治哲学に同意するしないにかかわらず、ライス氏の資質に疑いを差し挟むことは難しい。
それでも、確実な売上増と上場を見据える企業にとって、このレベルの不安をコミュニティーに与えるのは望ましいことではない。
写真提供:Whitehouse.gov
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(翻訳:Nob Takahashi / facebook)