今日(米国時間1/30)サンフランシスコで行われたイベントで、Dropboxはメモ帳アプリのPaper、およびSmart Syncの新機能を発表した。CEOのDrew Houstonは、同社の売上成長と、セルフサービス・ビジネスモデルについて話した。
Houstonによると、現在Dropboxは年間売上予測10億ドルのペースにあり、フリーキャッシュフローも黒字で、2017年後半に噂されるIPOに向けて順調に計画を進めている。
過去を振返ってみよう。18ヵ月前Dropboxは、登録ユーザー数は4億人以上で、1日当たり12億件のファイルが同期されていると語った。昨年夏に管理ツールのAdminXを公開した際、同社はユーザー数5億人以上、Dropbox Businessの企業ユーザーは20万社以上だと語った。
Dropboxは、エンタープライズ用ツールキットに様々な改訂を加え、News Corp、Spotify、Expedia等の大会社の要望に答えてきた。こうした積み重ねの結果、大企業が熱望するエンラープライズ製品が生まれ、Dropboxは投資家らが何年も先だと思っていたような会社へと転換した。
Dropboxは、当初のシンプルなオンラインファイル共有ツールを購入し、成長を支えてきた中小企業にも報いたいと考えているに違いない。しかし今同社は、大企業に対してDropboxが一人前のエンタープライズ向け企業であることを説得し、Microsoftのツールを捨てさせなくてはならない場面に直面している。
たしかに年間売上予測10億ドルは印象的な数字だ。しかし、ライバルのBoxは直近の四半期だけで1.028億ドルを売上げてる。Boxは当初からエンタープライズ志向で、そのためのブランド作りをしてきた。CEO Aaron Levieの下、エンタープライズ向けソフトウェアに特化している。その結果、強力な消費者ブランドとして名の通っているDropboxよりも、Boxは大企業に強い。
もちろん年間予測売上10億ドルは、Dropboxの仕事が終ったことを意味しない。同社が強力なエンタープライズ製品の開発を急ぐ中、SalesforceはQuipを7.5億ドルで買収し、Dropboxのメモ帳アプリPaperを打ち負かそうとしている。
Googleは、GSuiteをはじめとするエンタープライズ・コラボレーションツールを積極的に拡大しており、もはや趣味プロジェクトではなくなった。MicrosoftはCEO Satya Nadellaの下、事実上ツール類をクラウドベースに転換し、Office製品を様々なプラットフォームに展開している。
Dropboxにとって最大の問題は、今後も大型顧客を捕えつつ、新たなツール群で中小ビジネスの要望に答えていけるかどうかだ。
[原文へ]
(翻訳:Nob Takahashi / facebook)