小規模ビジネスにとってロジスティクスは、eコマースにおける最大の課題の1つだ。Pickuppは、柔軟でカスタマイズ可能な配送サービスを提供することで、オンデマンド経済での競争を支援する会社だ。香港を拠点とするPickuppは、マレーシア、シンガポール、台湾でも事業を展開しており、同社によれば顧客の物流コストを平均約28%削減できるという。
Pickuppは、アセットライトなビジネスモデルでこれを実現している。倉庫や自社のフリートを運営するのではなく、物流会社と提携し、独自のソフトウェアを利用することにより、注文の一括配送をより効率的にするのだ。
現在約1万社のeコマース業者にサービスを提供している同社は2020年11月、Vision Plus Capital、Alibaba Entrepreneurs Fund(阿里巴巴創業者基金)、Cyperport Macro Fund、Swire Properties New Ventures、そしてSparkLabs TaipeiからシリーズAラウンドで非公開額の資金を調達したと発表した。
Pickuppは現在、4時間以内に配達するオンデマンドクーリエ便、当日配達、1~3日配達の3種類のドア・ツー・ドア配達サービスを提供している。また、企業向けにロジスティクスや土壇場での配送ソリューションをカスタマイズすることもできる。
シンガポールでは、Pickuppは独自のeコマースプラットフォームを運営している。「Shop On Pickupp」と呼ばれるこのプラットフォームは、小売業者がその業務をよりオンラインで行うことを可能にし、新型コロナウイルス(COVID-19)のパンデミックの際には、士林夜市Singaporeのようなマーケットプレイスのデジタル化に使用された。
Pickuppを始める前、共同設立者兼 CEOであるCrystal Pang(クリスタル・パン)氏は、ソフトウェアエンジニアとして訓練を受けており、2014年に香港でUberを立ち上げたチームの一員だった。
「その頃、多くの業者がUberの車を使って、人以外のものを配達しようとしていることに気づき、物流について調べ始めました」と彼女は語っている。
しかし、配送サービスとは異なり、業者はUberのドライバーと価格交渉することができなかった。たとえば車両をより長時間待つことが可能な場合、割引料金を交渉するなど。「そこがロジスティクスの要点です。誰もが、どうにかしてコストを削減したいと思っていますから」とパン氏はいう。市場機会を感じとったパン氏は、ソフトウェアエンジニアリングの経験を活かしてソリューションを考え始めた。
Pickuppは2016年12月に設立され、翌年から運営を開始した。立ち上げ時、PickuppにはすでにGogovanやLalamoveのような手ごわいライバルがいた。しかし、それらの企業は主にオンデマンド、ポイント・ツー・ポイントでの配送に焦点を当てていたため、パン氏はサプライチェーンの他の部分に取り組む機会を見出した。
「他の物流会社と比較して、どのように自分たちを位置付けるかというと、様々なeコマースのニーズを満たすと同時に、当社は物流会社のように振る舞いますが、何も所有する必要はありません。この分野を代表するSF Express(順豊エクスプレス)やNinja Vanなどのような、倉庫をリースして自社フリートを運営する従来の物流会社の機能を果たしていますが、Pickuppはそれを実現するためにアセットライトなアプローチを選択しています」と彼女は述べている。
Pickuppは、データと技術の会社として自らを位置づけているとパン氏は付け加えた。
「当社をモニタリングシステムのような存在と考えていただくこともできます」と彼女はいう。Pickuppは、仕分け施設、国境を越えた貨物輸送業者、配送車両と提携し、サプライチェーンに沿って注文がどこにあるかを顧客に可視化している。
このシステムは、利用可能な配達員がいつどこで応対できるかを予測することでコストを抑え、注文バッチに合わせて配達員を配置することができる。また、需要が急増した際のボトルネックを防ぎ、可能な限り最大のキャパシティで配送業者を利用できるようにする。これはダブルイレブンやブラックフライデーのような、休日や大きなショッピングイベントでは特に重要だ。
Pickuppの利点の1つは、システムが柔軟に設計されているため、アジアの新しい市場に迅速に進出できることだ。パン氏はTechCrunchの取材に対し、今回のラウンドはサービスの追加や機械学習、予測分析、顧客の購買行動の理解に投資するために使われると語った。また、今後3年間で最大5つのアジア新市場への進出を計画しているという。
カテゴリー:ネットサービス
タグ:Pickupp、香港、物流、資金調達
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(翻訳:TechCrunch Japan)