Ethel’s Clubの創設者が有色人種向けソーシャル・プラットフォームSomewhere Goodを開設

現実とデジタルのサブスクリプション型コミュニティーEthel’s Club(エセルズ・クラブ)の創設者でCEOのNaj Austin(ナジ・オースティン)氏は、白人以外の人たちのためのワンストップのオンラインショップSomewhere Good(サムホエア・グッド:どこかいいところという意味)の開設準備を進めている。ここには有色人種の人たちがつながりを作るという他に、人々に本来の自分でいられる安全な場所を提供するという役割もある。

「Somewhere Goodについて投資家に説明するときによく話すのが、私たちのアイデンティティーが中心になる世界という考え方です」とオースティン氏は私に話してくれた。「Somewhere Goodのビジョンは、ポケットから電話を取り出せば、黒人として、または有色人種として必要なすべてが、そのひとつの場所で間に合うというものです」。

つまり、健康、アート、音楽、映画などに関連するコミュニティーにアクセスでき、それらのグループを通じて経済活動ができるということだ。なにも、そうしたコミュニティーがこれまで存在していなかったというわけではない。存在はしているが、小さく断片的にウェブの中に埋もれているため、簡単に出会える状態ではないということだ。

健康コミュニティーEthel’s Clubを運営中、オースティン氏は、たとえば80年代のジャズや、子どもを産みたくない黒人女性に特化したスペースなど、もっと限定的な黒人と有色人種のための場を知らないかと利用者に尋ねられることが多かった。

「無数にあるのです」とオースティン氏。「私たちに必要なのは、そうした場所を自分で探せるようにするプラットフォームなのです。そこで、有色人種のための場を提供する会社を設立するという私の信念の核心部分に立ち戻ります。より多くの場を提供できているか。より多くの有色人種の人たちに活力を与えているか。そこに私は全力を傾けています。それらの答が「イエス」である限り、手段はなんでもいいのです」。

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1月、Somewhere Goodがベータ版でローンチされたとき、利用者は自分のおおまかな情報をインプットすれば、興味のあるセクションを選択できるとオースティン氏は話していた。たとえば、犬を飼っていてパン屋で働いている絵が好きな母親、といった具合に自分を表すことができる。

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「すると私たちは、その人に最適と思われるコミュニティーを見繕って紹介します」とオースティン氏。

それによりSomewhere Goodは、利用者にもうひとつ上のレベルでのつながりをもたらすことが可能になるとオースティン氏は言う。その新たなレイヤーを構築するひとつの方法として、マッチングツールが考えられる。

「私たちは、人々のつながりに、もっと実感を伴った動機を与えたいと考えています」とオースティン氏は話す。「両方とも黒人というだけではなく」。

現在はMighty Network(マイティー・ネットワーク)に属する有色人種のための健康プラットフォームEthel’s Clubも、Somewhere Goodの中の数あるコミュニティーのひとつに過ぎない。彼女たちは、他のコミュニティーのメンバーを、黒人と有色人種を中心としたこのプラットフォームに誘い込もうと計画している。そこから、それらのコミュニティーの人たちがSomewhere Goodで独自のコミュニティーを築いてゆくことをオースティン氏は思い描いている。

「すでにコミュニティーを形成している人たちに場所を提供し、コミュニティーのための場が欲しい人たちにその機会を与え、やがてはその他の参加者たちも、やる気が湧いてきたときに、自分たちのコミュニティーを構築できるようにしたいのです」と彼女は話す。

今のところは、Somewhere Goodにアクセスし「Take me somewhere good」(どこかいいところへ連れて行って)をクリックすると、黒人や有色人種向けのブランドが、たまたま見つけたような感覚で示される。現在このサイトには、黒人向けヘアーブランドNappy Head Club,、黒人デザイナーの紹介サイトBlack Fashion Fair、シリアルとカルチャーのブランドOffLimitsなど、100件を少し超える数のブランドが登録されている。

私たちはみなさんを箱に閉じ込めたりしない。箱はシリアルのためにあるもの(画像クレジット:OffLimits)

例えば、OffLimits(オフリミッツ)は、まだコミュニティーが作られていないものの、食品を見直すという観点を中心にしたブランドだとオースティン氏は言う。だが「情緒的に不安定なカウンターカルチャー的漫画のキャラクター」の物語を掲載するなどしているOffLimitsも、プロダクトデザインや食品を中心としたコミュニティーをSomewhere Goodで立ち上げて運営することが可能だ。彼女はまた、化粧品ブランドのFenty(フェンティー)がスキンケアを中心としたコミュニティーを作って欲しいと期待を寄せている。

Somewhere Goodのコミュニティーには、それぞれにモデレーターが付き、すべてのメンバーはSomewhere Goodの行動規範に従わなければならない。このプラットフォームでは、ヘイトスピーチ、嫌がらせ行為、いじめやその他の暴力行為を一切禁止している。

「私たちの行動規範に違反した者は、誰であれ即座にSomewhere Goodプラットフォームから追放される」と同プラットフォームの綱領に書かれている。

Somewhere Goodは一切の広告を入れず、データを売却することも決してないと話している。そのビジネスモデルは、利用者が支払うコミュニティー参加料から徴収する一定割合の手数料に依存している。

「そのため私たちには、人々にコミュニティーを作りたいと感じさせる魅力的な機会を作り出す必要があります」と彼女は言う。

Somewhere Goodでは、ゆくゆくはコミュニティーが、ライブストリーミング・イベントで収益を得たり、製品を販売したり、いろいろなタイプのピアツーピア取引が行えるようにもしたいと考えている。

Somewhere Goodは先週、ツイートを投稿してソフトローンチを行い、会員の募集を開始した。すでに2500人以上が予約リストに登録されている。

これは、オースティン氏がEthel’ Clubで用いた戦略に通じるものだという。Ethel’s Clubでは、ローンチされるまで、彼女はその製品の機能性に十分な確証がなかったのだが、人々が関心を示すかどうかを確かめるために、まずは話を持ちかけた。そして関心があるとわかるや、Ethel’s Clubはそのコミュニティーを受け入れ、彼女たちが望んでいた製品の構築に協力してもらった。彼女はそれと同じ枠組みを、Somewhere Goodでも利用しているという。

Ethel’s Clubは、そもそもブルックリンで発足した現実のコミュニティーだったのだが、新型コロナウイルスのパンデミックの影響でデジタル世界に進出した。現在は、Dream Machine、Shrug CapitalCanvas Ventures、Color、Debut Capital、そしてKatie Stanton(ケイティー・スタントン)氏、Roxane Gay(ログザーヌ・ゲイ)氏、Hannibal Buress(ハンニバル・ブレス)氏といったエンジェル投資家から100万ドル(約1億600万円)を調達している。

デジタル世界に移行したことで、Ethel’s Clubの会員は1500人を超えた。しかし最大の問題は、人々がもっと多くを求めていることだったとオースティン氏は話す。Somewhere Goodは、まさにそれに対応するためのものだと彼女は言う。それは、たった1箇所で有色人種の人々があらゆるものに出会えるプラットフォームを目指している。

画像クレジット:Naj Austin

カテゴリー:ネットサービス
タグ:フラットフォームコミュニティ

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(翻訳:金井哲夫)

投稿者:

TechCrunch Japan

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