Etsyは「ハンドメイド」作品だけのマーケットプレイスの立ち位置から一歩離れ、小規模な販売者がビジネスをスケールできるよう、多様な商品を扱うマーケットプレイスとなるようだ。Etsyは本日、 Etsy Manufacturingというプログラムを発表した。このサービスはEtsyが認定した製造業者と販売者をつなぎ、販売者の必要とする生産のためのリソースを提供する。
Etsyは2年前、販売者が製造業者と協力することを認める方針に変更した。条件は、販売者がカスタマーに製造プロセスの透明さを保証し、プロダクトやデザインに対し著作権を保持し続けることだ。
そのように方針を変更した理由について当時Etsyは、以前のポリシーは販売者にとって分かりづらいもので、外部の助けを少しでも用いるとサイトから追放されると思っている販売者が多くいたからであると説明した。また、「ハンドメイド」のプロダクトに限定していると明示することは、必ずしも販売者のプロダクトの生産方法を適切に表現していなかったという。例えば、ハンドメイドのキャンドルを製作する時に必要な蜂のワックスの調達や、アクセサリーを3Dプリンターで製作する場合も、外部の企業の力を借りて生産を行っていると言えるからだ。
「ハンドメイド」の定義を元にルールを作るのではなく、Etsyは「著作、責任、透明性」の意味をそれぞれ明確にし、プロダクトの生産に助けを必要とする販売者を受け入れ、外部の製造者と協力するための許可を与えることにした。
許可された販売者は、店舗のAboutページに製造元の情報を掲載する必要がある。
Etsyはこれまで5000人ほどの販売者の申し込みを承認し、販売者と製造元のパートナーシップ契約は7853件行われたそうだ。その契約の85%は同国内のものとEtsyは強調している。Etsyの販売者の中に低コストの海外の製造業者と契約し、商品を大量生産しているという批判が複数寄せられていたからだ。
販売者の継続的な成長と、独創的なプロダクトの需要に見合うだけの生産を可能にするためだけでEtsyが販売者のビジネスをスケールできるようにしたのではない。この変更により、Etsyのサイトに登録する規模が大きく、成功している販売者が他の販売の選択肢(コスト面を比較するとより安価な方法もある)を選び、Etsyから離れていかないようにするための施策だ。他には例えば、Shopifyで自身のオンラインショップを運営する方法などがある。
Etsyは、販売者が更に簡単に製造を依頼できるようにしたいようだ。そうすることで、販売者がサイトを今後も継続的に利用することを促すことができる。
Etsyは、製造業者と協力したい販売者にとって最大の課題は最適なパートナー企業を探すことだと言う声を聞いたと話す。Etsy Manufacturingはこの問題を解決する。このアイディアの主旨は販売者と小規模な製造を行う企業をつなげることだ。Etsyは予め、要件を満たす製造業者であるかを審査している。例えば、製造業者も販売者同様、生産プロセスの透明性を保証し、下請けを許容する程度や、生産規模を確認している。また、製造業者は「職場やカスタマーサービスを整え、透明性や安全性を保持する一連の施策を行う」ことに同意する必要があるとEtsyは説明する。
Etsyにとって、この拡大はマーケットプレスの収益の増加につながるだろう。現在、Etsyは掲載商品ごとに0.20ドルを課金し、商品が売れる度に3.5%の取引手数料を受け取っている。言うまでもないが、販売者が多くの商品を販売するほどEtsyの収益も増す。また、この新しいマーケットプレイスを利用するのも無料ではない。これはEtsyの財政を助けるだろう。
Etsyは4月に実施したIPO以降、苦戦を強いられている。 Q2では予測値のほんの少ししか業績が上回らなかった。いくつかの問題点が明らかとなったことと、為替相場の変動もその要因の一つだ。また、同社は第三四半期でマーケティングに費用をかけるため、収益の伸びは遅くなると発表したことからQ2の決算発表後の株価の下落を招いた。Etsyの株価はIPO時には30ドルだったが、現在は14ドルまで下がっている。
このManufacturingマーケットプレイスのベータ版は2015年の暮れにローンチ予定で、デザイナーと製造業者は2016年から取引を行うことができるようになる。ベータ検証段階では製造業者を探すのに費用はかからないが、サイト上での取引にはコストがかかるという。価格は後日発表するという。
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