今日(米国時間8/30)、Appleがアイルランドに保管している利益に関してEUは税の未払額が145億ドルであると決定した。これに対してAppleのCEO、ティム・クックは「事実に関しても根拠となる法律に関しても根拠がない」と強く反発した。
顧客に宛てた公開状でティム・クックはEUの決定を「前例がないもの」であり「有害」と批判した。Cookは「Appleはアイルランドで1980年からビジネスを続けており、現在6000人を雇用している。また国際法、現地法を順守してヨーロッパ諸国に納税してきた」と指摘した。クックはさらに次のように続けている。
「〔EUは〕アイルランドの税法を無視し、国際的税法のシステムを破壊することによってヨーロッパにおけるAppleの歴史を修正しようとしている。8月30日付でEUが発表した見解はアイルランドがAppleに特別な税制上の優遇を与えたとしている。
「その主張は事実においても法律においても根拠がない。Appleはアイルランドに対して税制上の優遇を要求したこともなければ受けたこともない。われわれはすでに支払った額以上の何らの納税義務も負っていないと考える。AppleはそのEUにより遡及的に税を追加されるという驚くべき立場に置かれた。」
クックは世界的に事業を展開するビジネスにとって税法は困難な問題を提起することを認めた。しかし「税は価値が創造された場所で納付されるべきであり、Appleはなんら違法な活動を行っていない。EUはAppleを不当に標的としている」と反論した。
「Appleにおける研究と開発〔という付加価値の創造〕はほとんどがカリフォルニアで行われている。したがって利益及の大半はアメリカで生み出され、納税のほとんどもアメリカで行われている。アメリカでビジネスを展開しているヨーロッパの企業もまったく同様の原則によって課税されている。ところがEUは遡及的にこの原則を変えようとしている。
「〔EUの事実上の追徴課税は〕明らかにAppleを標的として選び出したものだ。しかしそれ以上にヨーロッパの投資と雇用に有害な影響を与える。EU当局の決定はアイルランドのみならず、ヨーロッパ全土の企業を突如として法律に基づかない多額の課税という重大な危険にさらすことになった。
クックはAppleは国際的な税制改革を支持するが、その交渉相手は〔課税権を持つ〕個々の国の政府、指導者であり、EUであるべきではないと述べた。またクックは改革が必要であればEU指令一般の例にしたがって将来に向かって適用されるべきであり、遡及的であってはならないと付け加えた。
AppleはEUの決定を不服として申し立てを行う。クックはEUの決定が「取り消されるものと確信している」という。
Cookの公開状の全文はこちら。
画像: Stephen Lam/Getty Images
〔日本版〕EUの決定は未払と認定した額をアイルランド政府に納付するよう命令するもの。アイルランド政府はEUの決定を不服としている。ただしEUは税が未払である企業に対し制裁金を課する権限がある。制裁金の額は決定されていないが、未払と認定された税額を基礎としたものになると見られている。
[原文へ]
(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+)