Facebookは、プライベートメッセージにスタンプ ― キュートでアニメーション付きもある既製の画像[英語版ではsticker] ― をウェブでも提供開始した。Facebookは、4月からモバイルでスタンプを提供しているが、これからはウェブでも無料のスタンプパッケージ16種類から好みのセットを選べる。スタンプで、Facebookユーザーが他のメッセージサービスへ移行することを阻止できるかもしれない。
しかし、Facebookスタンプの進展にブレーキがかかるかもしれない。ハッカソンでこのプロジェクトを立ち上げ、Facebookのプロダクトデザイナー兼アートディレクターだったデザイナーのSophie Xieが、つい最近会社を去った。ウェブ版スタンプは彼女の最後の仕事の一つとなり、同社広報部から配布された下のスクリーンショットには彼女が登場している。XieがFacebookに在籍していたのは2012年からのわずかな期間だけだが、彼女の退社は会社にとっ大きな損失になるだろう。現在彼女は超ローカル位置情報アプリに関わっていると言われている。
粘着ビジネス
スタンプ〈ストア〉と呼んではいるが、FacebookはLineやPathなど他のメッセージアプリのように有料で販売することはないことを正式に表明している。同社はユニバーサルスタジオと協同で映画 “Despicable Me 2″[邦題『怪盗グルーのミニオン危機一発』]向けにブランド付スタンプを作ったが、ブランドが料金を払ってブランド付スタンプをストアに加えることに関しては発表することはないと言っている。ストアに新しいスタンプパックが追加された様子もない。
だからと言ってスタンプがFacebookに売上をもたらさない、という意味ではない。楽しく可愛いいビジュアルなコミュニケーションツールのおかげで、FacebookユーザーがGoogle Hangoutsに移行するのを防げるかもしれない。Hangoutsは、Google+、Google Messenger、Google Talk(Gchat)を合わせた新しい統合チャットシステムだが、スタンプはまだない。
Facebookは、メッセージとスタンプによるエンゲージメントを、特にウェブにおいて、直接間接両面で収益に結びつけることができる。スタンプメッセージに返信するためにFacebookを開いたユーザーが、結局ニュースフィードを見ることになり、会話の待ち時間に広告を見るかもしれない。一方、メッセージを送れば送るほど、Facebookはそのユーザーが誰と一番親しいかを知る。このデータを使ってコンテンツ関連アルゴリズムを精緻化し、いちばん気にかけている人に関するフィードを表示できる。
Facebookのスタンプへの取り組みは本気だ。一線級の外部デザイナー(Mark Zuckerbergの愛犬ビーストを専用パッケージにしたDavid Lanham等)に依頼して、最高のスタンプを作ろうとしている。さらには、UCバークレーの感情研究者らとも協力して、これまでのテキストのみのエモーティコンに代わる、生き生きと感情を伝える新世代のアニメーションスタンプを開発した。
ばかばかしく感じるかもしれないが、スタンプはFacebookをはじめとする無数のメッセージングアプリにとって、強力な差別化要因だ。SMSが消えつつある今、テキストメッセージを制する者には山ほどのトラフィックがもたらされるかもしれない。
【日本語版注:訳者の環境では現在利用不可。例によって徐々に展開しているのかもしれない】
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(翻訳:Nob Takahashi)