Facebook、メーシー百貨店内にミニ店舗を提供――年末商戦に向けてスモールビジネスを応援

Facebookはアメリカ全土9都市で物理店舗をオープンすると発表した。これはメーシー百貨店内のポップアップ・ストアで、スモールビジネス100社の商品を扱う。Facebookは今年に入ってThe Market @ Macy’sというプロジェクトを組織し、メーシー店内で臨時のミニ店舗を活用するマーチャントを募っていた。

マーチャントは売上の全額を得ることができる。Facebookもメーシーも手数料は徴収しない。ミニ店舗の開設に伴う一時金についてはFacebookがメーシーに支払う。ポップアップ・ストアはオンラインのニュースフィードの投稿によく似たデザインで「いいね!」ボタンまで揃っている。実店舗でありながらFacebook上でショッピングしているような感覚だ。

この事業でFacebookは直接手数料を得るわけではないが、多くのスモールビジネスにFacebook広告の効果を認識させ、広告収入のアップを図ろうとしている。最近のInstagram広告やストーリーズにおけるインスタント・プロモーション広告の効果の分析結果から、Facebookはスモールビジネスのようなロングテール広告主との関係をさらに密接化していくことの重要性を再認識したという。また従来のニュースフィード広告からストーリーズや個別メッセージ広告へのシフトを促す狙いもある。

Facebookの北アメリカ・マーケティング部門の責任者、Michelle Kleinはこう書いている。

メーシー百貨店を訪れる消費者は小児がんの患者を助ける帽子やアパレルを販売するLove Your Melonや裏庭バーベキューから出発して50州にハンバーガー・チェーンを拡大したCharleston Gourmet Burgerなどを直接体験できる。

ポップアップ・ストアは今日から来年の2月2日までメーシー店内のThe Market @ Macy’sコーナーで営業する。場所はニューヨーク、ピッツバーグ、アトランタ、フォートローダーデール、ロサンゼルス、サンアントニオ、ラスベガス、サンフランシスコ、シアトルの9か所だ。ブランドには視覚障害者を助けるアパレルのTwo Blind Brothersを始め、Bespoke Post、Inspiralized、Mented Cosmetics、Linkなどライフスタイル、美容、食品など多様なジャンルが含まれる。Facebookが物理店舗事業を開始するのは初のハードウェアであるFacebookのビデオチャット用デバイスの発売にタイミングを合わせている。

またFacebookは向こう3週間にわたってニューヨーク市のグランドセントラル・ステーションで大々的な広告キャンペーンを実施する計画だ。このキャンペーンではグランドセントラル・ステーション内の115か所に36種類、600枚の広告が掲出される。Facebookでは参加するストアの広告をInstagramアプリ内にも掲出する。 また参加マーチャントはFacebookの Creative Shopのデジタル・デザインを無料で利用できる。

Facebookの収入の伸び率はこのところ急速に減少している。2016年第3四半期に59%だったものが、2017年同期には49%、2018年同期には33%に落ち込んでいる。この広告売上の伸び率の低下にともない、Facebookの歴史上珍しく、株価も不安的な動きを見せている。Facebookはさらに対話的でリッチな体験を約束する広告フォーマットへのシフトを図っているが、こうした広告はコストも増大するため広告予算に限りがあるスモールビジネスには浸透しにくい。メーシー店内のポップアップ・ストアのようなプロジェクトは、こうしたロングテールのスモールビジネスを喜ばせ、Faceboo広告にしっかりつなぎとめる効果があると思われる。

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滑川海彦@Facebook Google+

投稿者:

TechCrunch Japan

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