Facebook、追加でロシア関連の512フェイクアカウントを削除

米国大統領選挙から2年がたったが、Facebookはいまだにロシアのソーシャルツールを使った偽情報拡散に悩まされている。

今日のブログ投稿で、Facebookはロシア絡みの新たなフェイク活動を明らかにした。そして、プーチン政権が地政学的に眈々と興味を示している地域でプロパガンダを広めたとして、計471のFacebookページとアカウント、41のInstagramアカウントを削除した、としている。

“ごまかしを意図する行為”の最新の暴露で、Facebookはロシアを起点とする2つの運用を確認し、明確な直接的つながりはないものの2つとも似たような手法を使っていると明らかにした。“ごまかしを意図する行為”というのは、大量のシェアできる政治的プロパガンダを広めるために、信頼のおけるもっともな装飾を付け加えるツールに頼った誤情報キャンペーンについてFacebookが使った婉曲表現だ。

1つの運用は特にウクライナをターゲットとし、もう1つはバルト海、中央アジア、コーカサス地方、中東欧の多くの国で活動していた。

「我々はこうしたページやアカウントを、投稿したコンテンツではなく、彼ら行いに基づいて削除する」とFacebookのサイバーセキュリティポリシー責任者のNathaniel Gleicherはブログに書いている。「これらのケースでは、裏にいる人たちが互いに連携を取り、素性をごまかすためにフェイクアカウントを使っていた。これが今回の対応のベースにある」。

スプートニクとの関連

複数の国をターゲットとしたロシアの偽情報行為について、Facebookは無害、または普通に見えるページがロシア政権の広報部隊であるスプートニクの従業員とつながっていて、ページのいくつかは抗議活動とプーチンの方針を促進していることを発見した、とGleicherは語る。

「ページ管理者とアカウント保有者は初め、独立したニュースページ、または天気や旅行、スポーツ、経済、それからルーマニア、ラトビア、エストニア、リトアニア、アルメニア、アゼルバイジャン、グルジア、ダジキスタン、ウズベキスタン、カザフスタン、モルドバ、ロシア、キルギスタンの政治家といったトピックに関する一般的なページと称していた」と書いている。「彼らの身元詐称にもかかわらず、我々はこうしたページやアカウントがモスクワ拠点の通信社スプートニクの社員につながっていて、ページのいくつかは反NATOや抗議行動、反汚職行為のような話題で頻繁に投稿していたことを発見した」。

Facebookは、削除されたアカウントのいくつかのサンプル投稿もブログに示した。ロックコンサート、歴史的建造物、雪景色などの写真から、明らかに軍事的そして政治的な抗議を意図するイメージなどミックスして示している。

全部で、ロシアのネットワークに関連する289ページと75Facebookアカウントを削除した、とFacebookは説明している。こうしたページを少なくとも1つ以上フォローしていたアカウント数は約79万にのぼる。

Facebookはまた、ロシアのオペレーターによる広告で13万5000ドルを受け取っていたことも明らかにした(この代金はユーロ、ルーブル、米ドルで支払われた)。

「最初の広告は2013年10月に掲載され、直近のものは2019年1月だ」とし、さらに「我々はまだこうしたアカウントのコンテンツのレビューを終えていない」と付け加えている。

ロシアの政権につながったページはまた約190のイベント開催を掲示していた。Facebookによると一番最初のものは2015年8月に予定され、直近のものは2019年1月だ。「こうしたイベントの中で直近のものには1200人が興味を示した。これらイベントが実際に開催されたのか、我々は確認することができない」とも記している。

Facebookは、偽情報を調べるパートナーのオープンソースのレポートと作業により、このネットワークを特定した、としている。(オープンソースの調査についてもっとよく知りたい人は、DFRLabのこのブログ投稿を見てほしい)。

Facebookはまた、今回の調査の情報を、米国の司法当局、米国議会、他のテック企業、そして影響を受けた国々の議員と共有したことも明らかにした。

ウクライナ情報

ウクライナをターゲットとしたロシアのネットワークについては、Facebookは計107のFacebookページ、グループ、アカウントと、41のInstagramアカウントを削除したとしている。米国司法当局からの最初の情報により、そうした動きがあることを特定した。

18万のFacebookアカウントが、削除されたページを1つ以上フォローしていた、としている。またフェイクのInstagramアカウントについては、5万5000超のアカウントがフォローしていた。

ここでも再び、Facebookは偽情報供給者から金を受け取っていて、その金はFacebookとInstagramでの広告費として額にして約2万5000ドルだった、としている。これは全てルーブルで支払われ、最初の広告は2018年1月、直近のものは2018年12月だった。(そしてこちらも繰り返しになるが、そうしたアカウントのコンテンツのレビューはまだ終わっていない、としている)。

「こうしたアカウントを操っている個人は当初、ウクライナ人としていた。彼らはさまざまなフェイクアカウントを運用し、天気や抗議、NATO、生徒の健康状態といったさまざまな話題についてのウクライナのローカルニュースを共有していた」とGleicherは書いている。「我々は、米国中間選挙前に見られたロシア起点の活動とのテクニカル的な類似をとらえた。その類似点には、ロシアのInternet Research Agency(IRA)と特徴が似ている行動が含まれる」。

ウクライナのケースでは、ページが主催するイベントは見つからなかった、としている。

「セキュリティにおける我々の努力は、一歩先をいく取り組みになるよう、そしてこうした種の乱用を発見するために続けられていて、特に今年欧州で重要な政局や選挙があることを考慮している」とGleicherは加えた。「我々はさらなる改善を図り、こうした乱用を実際に感知して阻止するため、世界中で強いパートナーシップを構築することを約束する」。

1カ月前、Facebookは別の政治的フェイクアカウントを削除したことを発表した。そのケースでは、ページを管理するネットワークがバングラデシュの総選挙の10日前に同国で偽情報を広めていた。

今週Facebookは、今後大型選挙を控えているより多くの国々に、政治広告主の条件を適用するなどして選挙セキュリティの措置を厳格化することを明らかにした。その手法とは、政治広告主がその国にいるかどうかをチェックする、というものなどだ。

しかし、今年大きな投票が行われる他の国については、Facebookは政治的なフェイクに取り組む方策をまだ発表していない。

イメージクレジット: Max Ryazanov

原文へ 翻訳:Mizoguchi)

投稿者:

TechCrunch Japan

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