Facebookは新たに「Camera Effectsプラットフォーム」をローンチした。これは、ARの画像フィルターとインタラクティブな体験を作成できるもので、そうしたエフェクトの制作のために外部の開発者の力を借りる。Facebookが開催したF8カンファレンス終了後、Facebookのスマホアプリのカメラ機能からエフェクトが使えるようになる。ただ、このCamera Effectsプラットフォームは将来的にメガネなどのARハードウェアにも対応できるように設計されているという。
Facebookは、最近ローンチしたFacebook内のストーリーズやカメラ機能、Messenger、Instagram、WhatsAppで何の考えもなくSnapchatをコピーしたと批判された。 ザッカーバーグはTechCrunchに対し、そうした施策は今日のCamera Effectsプラットフォームのローンチに向けた準備だったと話している。
Facebookは開発者のクローズドベータ版AR Studioツールへの登録受付を開始した。もう1つ用意したFrame Studioに関しては誰でも利用できる。Frame Studioでは、静的な画像を写真の上にかぶせるシンプルなフィルターを作ることができ、友達やページのファンに提供できる。Frame Studioを利用するのにコードの知識は必要ない。画像をアップロードするだけだ。当面の間、Facebookの承認がない限り、ブランディング目的のフレームや広告は認めないという。ただ、将来的にはこのプラットフォームでのマネタイズも考えていて、Facebookのスポークスマンは「私たちは人々にとって最高のプロダクトを提供することに注力しています。企業に対しては、それに参加するための有料の方法を紹介していきます」とした。
開発者であれば、ARのセルフィーマスクや企業の評価と言った情報を上乗せするツール、インタラクティブなゲーム、ザッカーバーグの言うところの現実世界では作ることのできない壮大なアートといったエンターテイメント性の高いビジュアル体験を作ることができる。また、一般ユーザでも、例えば友達にレストランで彼らのお気に入りのメニューを教えたりするのに、特定の位置にARメモを残したりする機能を用意する。
開発者はこのプラットフォームので正確な位置情報、オブジェクト認識、奥行き検知機能を活用したエフェクトを制作することができる。Facebookのカメラは例えばコーヒーカップのような特定のオブジェクトを認識したり、オブジェクトの表面を認識することができる。それにより、例えばコーヒーカップから湯気を出したり、コーヒーカップの中をサメが泳ぐような効果を制作することができる。
開発者は、顔認識(個人認証ではない)、ジャイロスコープや位置情報と言ったセンサー、他のアプリから情報を取得するScripting APIにより、ARエフェクトを起動させることができる。このプラットフォームのローンチパートナーと彼らと提供するエフェクトがいくつかある。例えば、マンチェスターユナイテッドとは、サッカーの試合の情報を取得し、「GOOAAALL!」の画像と観客の声援を追加するエフェクトを用意した。ゲーム開発企業EAとは、ゲーム「Mass Effect」のテーマで、ユーザのゲームの進み具合に応じて異なるマスクのエフェクトを用意した。NIKEのエフェクトでは、ユーザーの頭にヘアバンドを乗せ、最近走ったルートの地図を写真に上乗せする。
AR Studioの開発者はFacebook Live用のエフェクトも制作可能だ。Facebook Liveのエフェクトは本日から利用できる。例えば、視聴者の投票機能「This or That」や配信者がハッシュタグによる画面に表示できる Giphy LiveのアニメーションGIFなどがある。
現実世界は広大だ。FacebookのAR体験さえ受け入れられる。Facebookは開発者プラットフォームを解放することで、こうした体験を全て自社開発しないでもすむ。SnapchatはAR体験をコンシューマーに提供することにおいてスタートダッシュを得たかもしれないが、FacebookはARさらに数歩先まで進める戦略を持っているようだ。
[原文へ]
(翻訳:Nozomi Okuma /Website)