Facebook「Terragraph」と「ARIES」プロジェクトで通信インフラを構築を目指す

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Facebookの「コネクティビティ・プロジェクト 」で最も印象的なのは、太陽光で動くAquilaドローンで遠隔地でのインターネットアクセスを可能にするものだ。しかし、Aquilaの技術は印象に残るものだが、従来の地上のインターネット接続システムの方が多くの場合実用的である。

本日、Facebookは2つの新しいコネクティビティ・プロジェクトF8開発者カンファレンスで発表した。「Terragraph」と「ARIES」という名で、それぞれで活用方法は大きく異なるが、両方とも地上アンテナを使用する。それぞれは異なるワイヤレス技術を使って、都市部と遠隔地にインターネットアクセスを届ける。

Terragraphは街灯や他の「街にある建具」などにアンテナを備え付け、街をWiFiで包みこむプロジェクトだ。AIRESは大量のアンテナを整列させて、遠隔地に向けて放射することでインターネット接続を可能にする。

Terragraph prototype node

TerragraphはFacebookが持つソフトウェアで制御したネットワーク(従来のネットワーク技術は専門的なハードウェアが必要だったが、この技術によりすぐに使えるソフトウェアツールになった)の知識と最大7Gビットまで送受信できるWiGigを組み合わせたものだ。

WiGigは60GHz電波幅を用い、これは多くの国でまだ利用されていない(Wi-Fiで使用する2.5 GHzと5GHzと同じように)。60GHzで問題なのは壁を通り抜けることはできないことだ。ただ、信号を200から250メートル先まで届けることができる。FacebookはTerragraphシステムを使って都市部の街なかでもインターネット接続ができるようにしたい。

WiGigによる通信は、Wi-Fiに変換する必要がある。それはWiGigのクライアントノードの仕事になる。

Facebookは本日、年内にもサンノゼでTerragraphのパイロット検証を行う計画だと発表した。

Terragraphでの取り組みは、Facebookの通信インフラプロジェクトの一部となる。

Terragraph four sector distribution node

「Terragraphはフェーズドアレイ型のアンテナを使用し、60GHzの指向性の高いシグナルを維持します。しかし、広い範囲で通信できるように操作可能です」とFacebookのNeeraj ChoubeyとAli Panahは書いている。「ネットワークの構造上、Terragraphは都市部に良くあるような障害物、例えば高い建物やユーザートラフィックが多く、ネットワーク上に渋滞が起きている部分を迂回して通信することができます」。

FacebookはTerragraphのようなシステムは高層ビルの外に導入することでビル全体でもインターネット接続ができるという。

Terragraph Urban Deployment

ARIESは Antenna Radio Integration for Efficiency in Spectrumの頭文字を取ったものだが、これはより広範囲に対応するものだ。この技術は複数のアンテナの送受信(MIMO)で4G回線を届ける。複数の送信機と受信機でより多くのデータを送受信し、Facebookはこれを「巨大MIMO」と呼ぶ。ARIESの検証プラットフォームは現在96のアンテナを使用し、同時に24台の端末に対応することができる。FacebookはARIESのプロトタイプは従来の4Gシステムより10倍広く、エネルギー効率も良いという。

これらのシステムは都市部でも上手く機能するが、Facebookはこの巨大MIMOシステムを遠隔地で構築することに注力するという。彼らの目標はARIESのベースステーションを都市部に設置し、遠隔地に配信することだ。人口地域の周辺に配信し、遠い場所にもインターネット接続のインフラを届ける。

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(翻訳:Nozomi Okuma /Website/ twitter

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TechCrunch Japan

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