Facebookが最初のCaffeに大きな柔軟性を持たせたディープラーニングフレームワークCaffe2をオープンソース化

今日(米国時間4/18)FacebookはCaffe2をオープンソースにした。それは、最初のCaffeに次ぐディープラーニングフレームワークで、そのCaffeはカリフォルニア大学バークリー校で始まったプロジェクトだ。Caffe2は、効率的にデプロイできる高性能な製品を作ろうとするデベロッパーに、大幅な柔軟性を与える。

FacebookがCaffeのコミュニティにエンゲージするのは、これが初めてではない。10月にはCaffe2Goを発表したが、それはいわば、モバイルのCPUとGPU向けに最適化されたCaffe2だ。そもそも、名前の中に‘Caffe2’がある。そのときCaffe2Goが注目されたのは、リリース時期がたまたまStyle Transferと一致したからだ。

もうひとつ注目すべきは、同社が最初のCaffeのエクステンションをリリースしたことだ。それによってCaffeが、大きなオーディエンス向けのサービスを構築しているデベロッパーにとって、魅力的になった。Facebookは従来、リソースをそれほど必要としないディープラーニングのプロジェクトには、研究用途向けに最適とされるTorchライブラリ〔2015年にオープンソース化〕を使ってきた。

でも最近のテクノロジー企業はどこも、自社の機械学習フレームワークはスケーラビリティが優れている、と強調するようになった。Caffe2の開発リーダーYangqing Jiaは、MXNetと、スケーラビリティをめぐるAmazonの主張 をどう思っているだろうか。彼は比較のためのベンチマークにあえて言及しないが、しかしそれはベンチマークが無意味だからではなく、そもそも機械学習アプリケーションの性能は実装に大きく左右されるし、また学習モデルの質にも依るからだ。しかもそれらにはほぼ必ず、“DIY的な”バラつきや変動がつきまとう。

Caffe2のリーダーYangqing Jiaと事業開発のリーダーAlex Yu

“フレームワークというものには多かれ少なかれ必ずスケーラビリティの問題がつきまとうが、そんな中でCaffe2は、頭一つぐらい他を抜いていると思う”、とJiaは説明する。

Facebookは、Caffe2とPyTorchの両方に多くのリソースを注いでいる。今日の発表には、ハードウェアとデバイスとクラウドのレベルでのパートナーシップが伴っている。Caffe2の事業開発を統轄するAlex Yuは、どのカテゴリーでもパートナーとしてマーケットリーダーをねらった、と言っている。たとえばハードウェアではNvidiaやIntel、デバイスではQualcomm、クラウドではAmazonとMicrosoft、といったぐあいだ。この中にGoogleの名はないが、Google Cloud Platformとのパートナーシップも、今後無視されることはありえない。

Caffe2はリリースの前から、Facebook内部で大々的にデプロイされてきた。また、元のCaffeと同じく、デベロッパーコミュニティの育成にも力を入れる。CaffeからCaffe2へのモデルへの変換は、ユーティリティスクリプトで簡単にできる。ドキュメンテーションとチュートリアルはFacebookが提供、そしてCaffe2のソースコードはGitHub上にある。

[原文へ]
(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

投稿者:

TechCrunch Japan

TechCrunchは2005年にシリコンバレーでスタートし、スタートアップ企業の紹介やインターネットの新しいプロダクトのレビュー、そして業界の重要なニュースを扱うテクノロジーメディアとして成長してきました。現在、米国を始め、欧州、アジア地域のテクノロジー業界の話題をカバーしています。そして、米国では2010年9月に世界的なオンラインメディア企業のAOLの傘下となりその運営が続けられています。 日本では2006年6月から翻訳版となるTechCrunch Japanが産声を上げてスタートしています。その後、日本でのオリジナル記事の投稿やイベントなどを開催しています。なお、TechCrunch Japanも2011年4月1日より米国と同様に米AOLの日本法人AOLオンライン・ジャパンにより運営されています。