Facebookは、Instagramの「親しい友達」(Close Friends)に相当する機能を開発中であることを、TechCrunchに対して認めた。「友達」の内容が、家族、職場の同僚、遠い知人などを飲み込んで膨れ上がるにつれて、リスキーもしくは気まずさを感じる可能性が高まり、Facebookでのシェアを控える人が多くなっている。会社の上司やおばあちゃんに、週末のパーティーの様子やド派手なミームを見られることを望む人はいない。SnapchatのSnap Mapスタイルのようなライブロケーショントラッキングなど、さまざまな種類の共有方法があるが、そうした情報を幅広い視聴者に公開するのは居心地が悪いことなのだ。
ソーシャルネットワークは、マイクロシェアリングを扱う必要がある。しかしFacebookは、人々が友達のさまざまなサブセットに投稿することを可能にするフレンドリスト機能を、長年にわたって提供しようと試みては失敗することを繰り返して来た。
2011年にはFacebookは、ユーザーの95%がリストを1つも作成していないと語っていた。そこでFacebookは、人々を高校の同級生や職場の同僚などを自動的にグルーピングするスマートリストや、手動で作成する「親しい友達」リストと、重要な更新のみを見る「知り合い」リストを提供した。しかしそれらもまた、過去8年間でほとんど利用者を引き付けず、機能の更新も行われてこなかった。Facebookは昨年、特定の友達が共有したものを表示するために提供していた、Friend Lists Feedsをシャットダウンした。
そして約1年前に、Instagramが突破口を開いた。誰がその中に含まれていたかを思い出せないほど複雑な友人リストを作成する代わりに、ストーリーの中から共有するための専用ボタンを備えた単一の「親しい友達」リストを提供したのだ。Instagramの調査によれば、1人のユーザーのダイレクトメッセージの85%は同じ3人に送信されていることが判明した。ならばみんなをグループスレッドに引き込む代わりに、ストーリーでそれを簡単にすれば良いのでは?先月私も「Facebookにそれ自身の『親しい友達』機能がまだないことに驚いている。それを構築することがスマートだと思う」と書いている。
FacebookのFavoritesの仕組み
現在、Facebookは、「Favorites」という名の、Instagramの「親しい友達」に似た機能のプロトタイプを作成している。ユーザーは特定の友人たちをFavorites(お気に入り)として指定し、Facebookストーリー、またはメッセンジャーのカメラベースの投稿をそれぞれのメッセージスレッドとして即座に送信することができる。
この機能は、リバースエンジニアリングの達人であり、TechCrunchのタレコミ常連でもあるJane Manchun Wong(ジェーン・マンチュン・ウォン)氏によって、最初メッセンジャーの中で発見された。Androidアプリに埋め込まれていたのは、未リリースの機能のコードで、ウォン氏はそれを使って上記のようなスクリーンショットを生成することに成功した。それは、ユーザーがメッセンジャーからストーリーまたはカメラ投稿を共有する際に、Favorits内のユーザー全員へチャットからどのくらい簡単に送信できるかや、10人までの人間を手動で追加したり、アルゴリズムによる推奨を使ってリストに誰が含まれるかを編集できることを示している。今のところ、FavoritesはInstagramの「親しい友達」のようなストーリーを共有するための仕組みではないが、Facebookがこの先Favoritesを拡張してその機能を実現することは想像できる。
【更新】Facebookは当初、Favoritesがストーリーを介して共有されるものだと語ったが、後ほど投稿はメッセンジャー経由でFavoritesに対して送信されると修正した。
Facebookの広報担当者は、この機能はメッセンジャーチームが作成したプロトタイプであることを認めた。これはマイクロシェアリングの手法に対する早期調査の1つであり、この機能は従業員によって内部で公式にテストされたり、フィールドに一般に公開されたりしているものではない。広報担当者は、Favoritesを特定の人たちと共有するためのショートカットの一種として説明している。担当者によれば、Facebookは常に新しい共有方法を模索しており、今年のF8カンファレンスでも議論されたように、Facebookはあなたの最も親しい友人たちとの共有体験を改善し、より親密なつながりを維持することに焦点を当てているということだ。
より過激な共有が増える
FacebookがFavorites機能を開始した場合、それは彼らに多くの利点を提供する。第一に、最高に親しい友人だけにコンテンツを表示できるようにすれば、ユーザーはより頻繁に共有を行うかもしれない、なにしろそうした人たちはコンテンツがたくさんシェアされても気にしない相手だからだ。第二に、Facebookは、心がこもり繊細なものから、馬鹿げていて衝動的なもの、そして、卑猥で過激なものに至る、より親密な種類のコンテンツ(友達リクエストを受け入れた全員には見せたくないようなもの)を手に入れることになるだろう。Favoritesは自主規制のレベルを引き下げる可能性があるのだ。
「これまで『親しい友達』グラフに熟達して、誰もが理解しやすいものにできた人はいません。人々は、フレンドリクエストを受けて、それを受け入れることにプレッシャーを感じているのです」。Instagramの製品ディレクターであるRobby Stein(ロビー・スタイン)氏は、昨年「親しい友達」機能を立ち上げたときに私にそう語った。「共有するものが増え、最初により多くの人を追加すると、より多くの人があなたに返信できるようになります。しかし時間の経過とともに共有が減少するポイントがあるのです」。Google+、Path、その他のアプリは、この意図的に選択されたマイクロシェアリング動作を追求することで死んだ。
FacebookのFavoritesは、そのネットワーク内独自の共有を促すので、それによって使用を促進する可能性がある。なお、Facebookは4月に、Facebookとメッセンジャーを合わせると、毎日5億人のストーリーズユーザーがカメラから投稿しており、これはInstagram StoriesとWhatsApp Statusと同じ数だと述べている。
Instagramは「親しい友達」を開始する前に、実際にはその機能をFavoritesという名前でテストしていた、そこではストーリーに対するものと同様の投稿を一部の人たちだけに向けて行うことが可能だった。そして先月には、Instagramは親しい友達専用のメッセージアプリThreadsを開始した。このアプリを使用すると、現在地や現在の状況が自動的に共有される。
FacebookのFavoritesも同様に、まったく新しい接続方法を提供できる可能性はある。だがFacebookはSnapchatのようなアプリに追従して、よりプライバシーを中心に据えた道を辿ることはできない。なぜならFacebookは15年におよぶプライバシースキャンダルを経て、ユーザーが疑い深くなっていることを知っているからだ。Facebookとは異なるソーシャルグラフに向けて共有するために開発されたアプリで成功したものとしては、Twitterの関心グラフから、TikTokのパブリックエンターテイメントファンダム、そしてSnapchatの親友メッセージングスレッドなどの、数少ないソーシャルプロダクトが挙げられる。
競争力があり人気も高いFacebookのFavorites機能は、位置、ミーム、パフォーマンス、Q&A、メッセージング、ライブストリーミングなどに関係する製品を試すことができるだろう。Instagram Threadsに対抗した独自のサービスを構築したり、「近くにいる友達」(Nearby Friends)のような近隣にいる人物の情報がわかるだけではなく、Favoritesの人たちと詳細な位置情報を共有したり、(もう閉鎖されてしまったが)LOL実験サイトのような、ティーン向けのミーム再共有専用ハブのようなものを作ることもできるだろう。Instagramの「親しい友達」と統合できるため、少なくともInstagramからFacebookのFavoritesに対して投稿を自動配信することはできる。
Favoritesのコンセプト全体は、FacebookのCEOであるMark Zuckerberg(マーク・ザッカーバーグ)氏によるプライバシー重視のソーシャルネットワーキングのビジョンと一致している。「多くの人たちは、一対一またはせいぜい数人の友人との間の親密なやりとりを好んでいます」と彼は書いている。Facebookは、知り合いが伝える身の回りの出来事をときどきチェックするための、汎用何でもフィードソーシャルネットワークのままではいられない。この先さらに15年生き残るためには、人々が毎日訪れて、最も親しい友人とのやり取りを充実したものにできる場所になる必要がある。少ないほうが最後には多くを手に入れる可能性がある。
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(翻訳:sako)