FacebookがARプラットフォームと‘World Effects’を全デベロッパーに開放

Facebookはサードパーティの開発者たちの助けを借りて、Snapchatとの間に横たわる拡張現実機能のギャップを埋めようとしている。Augmented Reality Camera EffectsプラットフォームとAR Studioツールを、F8会議で発表してから8ヵ月、本日(米国時間12月12日)Facebookは、すべての開発者ががFacebookカメラのARエクスペリエンスの構築を始めることを可能にした。これらの機能の中には、FacebookによるSnapchatのWorld Lenses機能のコピーである”World Effects”が含まれている。これを使えば単に自撮りだけでなく、環境までも含んで、3Dオブジェクトで拡張することが可能になる。

AR Studioは本日から、すべての開発者によって利用可能となり、World Effectsは数日後にはFacebookとMessengerで利用できるようになる。たとえば、Messengerの中で、3Dのハートを誰かの頭の上に浮かべて追加したり、矢印を追加してパノラマの中の何かを指し示したり、地味なビデオを音楽で盛り上げるロボットを追加したりすることができる。

Facebookの新しいWorld Effects

「私たちはアーティスト、開発者、ブランド、さらに沢山のクリエイターの皆様が、素晴らしいARエクスペリエンスを作成し、共有できるようにしたいと考えています」と、FacebookのディレクターFicus Kirkpatrickは述べている。「AR Studioをすべてのクリエイターに開放することで、私たちはARを日々の生活の一部にするためのステップを踏み出しました」。

Facebookにとってのチャンスは、Snapchatの見せる反デベロッパーの姿勢に、つけ込めることだ。Snapchatは、いくつかの基本的な画像フレームを取り込むこと以上には、サードパーティのARコンテンツを完全には受け入れておらず、Jeff Koonsのような少数の素晴らしいアーティストたちと協力するだけに留まっている。一方、Facebookは、10年以上にわたって開発者のプラットフォームを運用しており、Facebookの膨大な20億人のユーザーの目の前に、コンテンツを提供しようとするコーダーたちの巨大なコミュニティを育んでいる。

Facebookは、Camera Effectsプラットフォームを開始して以来、ARの体験を生み出すために、2000以上のブランド、出版社、アーティストたちと協力してきた。これによって「スポンサー付きWorld Effects」の下準備が整えられた。これは企業がお金を払って、Facebookの中でARのギミックを提供できるようにする仕掛けだ。

FacebookのAR Studioを使えば、アニメーションや画像を、例えば誰かが眉を上げるといった特定のきっかけと、結びつけることができるようになる。

「私たちは、顔追跡機能の改善、新しいグラフィックス機能、優れたスクリプト機能、そして今度はWorld Effectsを使って、プラットフォームの機能を継続的に進化させてきました。とはいえ、これは始まりに過ぎません。クリエイターたちがAR Studioを使って、アートを生み出してくれることが、待ちきれません」。

ユーザーは、FacebookやMessenger Cameraを開き、World Effectsの中をスクロールして、見ているものにタップで効果を追加することができる。現時点で利用可能な体験には、操作することのできるユニコーンや、空中に浮かんだ3D文字(”love”, “babe”, “heart”, そして “miss you”など)といったものも含まれる。

Facebookは、ARの探求では幾つもの困難に出会っている。Cameta Effectsのコンテンツがシェアされることの多いFacebook Storiesは、Instagram Storiesのような成功は収めていない。現在はInstagramやMessengerからFacebook Storiesにクロスポストすることができるようにしているものの、やはり今でも多くのビューを得ることはできていない。一方、アップルのARKitとGoogleのARCoreは、開発者たちにFacebookにおんぶすることなく、自身のアプリの中にOSレベルでARを構築するための代替手段を提供する。

本質的に、Facebookが開発者を魅了する最大の理由は、既存の膨大な聴衆へのアクセスが容易だからだ。しかし、Facebook Storiesが人気を得ることができないならば、その聴衆にも簡単にはアクセスすることができない。おそらく、沢山の人びとがStoriesを見ているInstagramにCamera EffectsプラットフォームとWorld Lensesを開放した方が、効果が高いだろう。

現実世界は、単一の会社が拡張現実で盛り上げるにはあまりにも広すぎる。しかし、クラウドソーシングを使った開発によって、Facebookは最終的に、あらゆる場所、実世界のオブジェクト、休日、またはアクティビティに接続された、ARエクスペリエンスを提供することができるだろう。その幅広い提供が、人びとがAR世界を探索する標準的なやり方に対しての、鍵となるだろう。どんなアプリが提供するにせよ、最も成功と呼べる体験は、誰かに確認のために空中に手を伸ばさせるようなものになるだろう。

[原文へ]
(翻訳:sako)

投稿者:

TechCrunch Japan

TechCrunchは2005年にシリコンバレーでスタートし、スタートアップ企業の紹介やインターネットの新しいプロダクトのレビュー、そして業界の重要なニュースを扱うテクノロジーメディアとして成長してきました。現在、米国を始め、欧州、アジア地域のテクノロジー業界の話題をカバーしています。そして、米国では2010年9月に世界的なオンラインメディア企業のAOLの傘下となりその運営が続けられています。 日本では2006年6月から翻訳版となるTechCrunch Japanが産声を上げてスタートしています。その後、日本でのオリジナル記事の投稿やイベントなどを開催しています。なお、TechCrunch Japanも2011年4月1日より米国と同様に米AOLの日本法人AOLオンライン・ジャパンにより運営されています。