【抄訳】
モバイルアプリやWebアプリケーションのバックエンドをいっさい面倒見るというParseが今日(米国時間9/5)、同社初のデベロッパカンファレンスDeveloper Dayを開催して、新しい機能をいくつか発表した。それらは、JavaScriptのタスクをバックグラウンドで動かす、ゲームエンジンUnityとの本格的な提携、画像やユーザセッションの管理方法の改良、Webアプリケーションのサポートをモバイル並に向上、などなどだ。オーナーとして登場したFacebook CEO Mark Zuckerbergは、“いやぁ、あのころParseがあると良かったんだけどねぇ”、と2004年の創業時の苦労を回顧した。
Parseは、モバイルとWeb向けのBaaS(backend-as-a-service)で、4月にFacebookが、同社のプラットホームサービスを強化するために買収した。Parseのサービスは、ユーザ(==デベロッパ)のアプリケーションのデータをクラウドに保存する、認証とログインを扱う、プッシュ通知をアプリに届ける、ユーザのコードをクラウドから展開する、といった基本的なバックエンドジョブだ。ParseはFacebook初の有料B2Bサービスになった。
Facebookが買収した時点では、Parseは6万本のユーザアプリを動かしていた。Facebookが換骨奪胎してしまうのではないか、という 懸念も一部にはあったが、しかし買収後のParseは急成長し、ユーザ数は買収直後の9.4倍になった。アプリの本数は5月に8万、6月に10万となった。モバイル専業でスタートしたParseはその間にWebアプリケーションのホスティングもローンチし、Webアプリケーション単独は言うまでもなく、Webとモバイルアプリの両面展開をしているデベロッパは、データの共有などが非常にやりやすくなった。
ParseのDeveloper Dayはシンプルが売り
Zuckerbergがカンファレンスのキックオフを務め、Facebookの創業時のお話をした。
“親が学費のためにたくわえていた8000ドルが、資金のすべてだった。サーバとルータを酷使するようなものを、作りたかった。誰かが、ルータは中古を買えば安い、と言った。eBayで買ったそいつは、運良く動いた。なんとか、サーバを全部自分で管理できるところまではこぎつけたが、でもバックエンドの面倒な雑務が多すぎて、ソーシャルネットワーキングのイノベーションの足を引っ張った。”
アプリのメインのロジックをやりながら、同時にバックエンドもいじる、という軋轢ないし‘引き裂かれ状態’はParseによってなくなる、と彼は期待を述べた。そして誰もが、“優れたユーザ体験の構築だけに集中できるのだ”。彼によれば、ParseとFacebookの協働により、ユーザのアプリケーション/アプリの構築と成長を助けるツールを作っていきたい、と。
そのあとステージに立ったParseのCEO Ilya Sukharは、今やParseは“数十億のAPI呼び出しと数十億のプッシュ通知を処理し、Parseに接続するデバイスは数億台を数える”、と現況を述べた。
それから彼は、Parseの新機能を紹介した。
- アクセス分析 – デベロッパは自分のアプリの成長ぶりや、プッシュ通知の有効性、アプリの安定性などの計測値をParseからもらえる。自分でユーザのログインデータなどを分析したり、別途分析サービス(Google Analyticsなど)を利用しなくてもよい。.
- バックグラウンドジョブ – デベロッパはJavaScriptで小さなコードを書き、瀕用するタスク(メールの送付など)をスケジューリングし、Parseにやらせられる。そのために自分のサーバは必要ないし、Parseの巨大サーバを使った方が速い。
- Unityとの提携 – Unityゲームエンジンは、iOSとAndroidとWindowsのゲームのグラフィクスの実現のために200万あまりのデベロッパが利用している。提携によって作られたParse Unity SDKにより、デベロッパはUnityによるゲーム構築がより容易になる。
- ユーザセッションモジュール – 改良されたユーザセッションモジュールにより、ユーザのログイン/ログアウト管理がモバイルアプリとWebアプリケーションで同等となり、とくにWebアプリケーション側での格差が解消した。
- 画像モジュール – アプリ内の画像処理をParseのクラウド上の最小限のコードで行える。画像をユーザのカメラロールから単に取り出すだけでなく、Parseにトリミングや色調整などをやってもらえる。
【中略】
なぜParseはFacebookにとって重要か
Parseがデベロッパに代わってバックエンドの面倒を引き受けるだけでなく、これからはFacebookにあるソーシャル機能を自分のアプリに組み入れてユーザを増やすことができる(すでにParseはソーシャルログインや共有機能などを統合)。そういう、ParseのFacebook的利用は、Facebookにとってもメリットだ。FacebookにとってParseが世話をしているウン十万というアプリ/アプリケーションは、重要な広告収入源でもある。
Parseのメインはモバイルアプリのバックエンド提供なので、Facebookにとってはアプリ内購入も(その鞘取りが)収入源になる。一方Parse側は、バックエンドのホスティングに加えて、(Facebook自身の)アクセス分析やソーシャルの統合、広告などが、これまでの‘各オペレーティングシステムの低レベル機能だけ’に加えて、新たなサービス資源となる。
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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))