Red HatのFedoraプロジェクトは、35ドルの小さなコンピュータRaspberry Piをこれまでもサポートしてきたが、今日からは、本来のFedoraディストリビューションをPiのために特別に“リミックス”したバージョン、Pidoraの提供を開始する。DebianのRaspbianディストリビューションと同じく、Raspberry Piとその上のハードウェアを有効利用できるように、特別にコンパイルされている。.
Pidoraには、ふつうのFedoraのデスクトップ体験にないものが二つある。まず、非力なPiのためにGUI/ウィンドウマネージャはGNOMEではなく、より軽量なXFCEだ。またモニタなしで使うユーザが多いと想定されるため、使いやすいヘッドレスモードを備えている。Piにスピーカーをつなぐと、そのIPアドレスを大声で言ってくれる。頭がいいね。
PidoraをビルドしたのはSeneca*のCentre for Development of Open Technology(CDOT)だ。ここは2年前から、FedoraのARMv5tel/armv7hlビルドも手がけている。もちろんその経験が、Pidoraにも活かされている。PiはARMv6だが、FPUは特製でARMv6のスペックにはない。〔*: Seneca, カナダのトロントのセネカ大学。〕
CDOTのChris Tylerによると、Pidoraの制作には3つの難関があった:
- ビルドの手順 — ソースパッケージは10K以上もあり、複雑なため、順番を間違えると依存関係が循環状になってしまう。
- ARMv6固有の問題 — ARMビルドではarmv5とarmv7がもっともふつうのターゲットだ。一部のパッケージには、armv6非互換の部分がある。
- ネイティブビルディング — Fedoraはネイティブビルドに固執する。つまり、コンパイル後のコードを実行できるシステムの上でパッケージをビルドしなければならない。
Raspberry PiのオーナーにとってPidoraが魅力的な選択である理由を、Tylerは次のように語る:
PidoraにはRaspberry Pi固有のPythonモジュールとライブラリ…WiringPi, bcm2835, python-rpi.gpioなど…がある。カーネルもRaspberry Piのインタフェイス…I2C, SPI, シリアル, GPIO…を露出するようコンパイルされており、一部は専用のライブラリやモジュールなしで(bashからでも)/sysのファイルインタフェイスでアクセスできる。また、GPUのBroadcom Videocore IVにアクセスするためのRaspberry Pi固有のユーティリティやライブラリもある。
ぼくはごく最近Piを手に入れたが、昨晩PidoraをSDカードにインストールした。何のトラブルもなく、すぐ動いた。
Fedoraは何年も前から、Fedora Linuxを載っけたUSBスティックを提供している。今後はあちこちのカンファレンスやイベントの会場で、Pidoraの載ったSDカードが配られるようになるのではないかな。
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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))