元グーグル社員が立ち上げたFIVE、グリーVとDonutsから資金調達–スマホ向け動画広告の”再発明”を目指す

ニュース系アプリをはじめとして、スマートフォンでも見かけるようになってきた動画広告だが、FIVEは「短尺」「ユーザーネイティブ」「パフォーマンス」の3つのキーワードで新しいアプローチをする。同社は3月30日、グリーベンチャーズおよびDonutsを引受先とする第三者割当増資を実施したことを明らかにした。調達額や出資比率は非公開。

同社が手がけるのはスマートフォン向け動画広告 「FIVE VIDEO NETWORK 」。どんなモノか紹介するよりも、まず動画をご覧頂くほうが分かりやすいだろう。

彼らが「バウンス」と呼ぶこの広告は、ユーザーがスマートフォンアプリの画面最下部までスクロールすると広告を音声付き(もちろん音声オフの設定も指定できる)で表示する。ユーザーが広告を見たいと思わなければ、少し上にスクロールさえすれば広告はひょいと表示されなくなる。FIVE VIDEO NETWORKでは、このバウンス広告のほかにも、動画のインフィード広告やインタースティシャル広告なども提供する。

FIVEでは2014年11月に広告配信サーバを立ち上げ、試験的にサービスを開始している。バウンス広告の定量的な成果については非公開だが、「通常のスタティックバナーと比較して高いCTR、アクションを記録している」(FIVE代表取締役社長の菅野圭介氏)とのことだ。ちなみにこのバウンス広告のフォーマットについて特許出願をしているとのこと。FIVE VIDEO NETWORKの詳細は以下の通り。

・320 x 180px サイズ or フルスクリーンのビデオフォーマット
・提携するスマートフォンアプリケーションへ配信
・独自のプリフェッチ技術による超高速の動画広告表示
・音声環境(Audibility)シグナルの判定および配信
・広告枠のインビュー判定および表示制御
・ユーザーに“コントロール” を与える独自UI
・独自 “短尺クリエイティブ” 制作のサポート、運用コンサルティング

創業メンバーは元グーグルが中心に

FIVEは2014年10月の設立。代表の菅野氏は、グーグル日本法人の出身。米Googleが買収したAdMob、そしてYouTubeでモバイル広告、動画広告事業に従事してきた人物。現在のメンバーは4人で、菅野氏以外のエンジニア3人のうち2人がグーグル出身だそうだ。

菅野氏は、「ウェブの動画は『Made for Web』、つまり(動画表現の広がりや共有を前提とするなど)ウェブでの提供を意識したモノだった。それと同じとは言わないが、今はモバイル、スマートフォンでの動画を新たに(概念から)作り直すことができる時期。320×50ピクセルの一般的なモバイル向けのバナーが最終形かというと絶対違うと思っていた」とサービス提供のきっかけについて語る。

そこで同社が重要視するのが、冒頭にあった「短尺」「ユーザーネイティブ」「パフォーマンス」という3つのキーワードだ。

同社が提示する動画広告はまず、5秒程度の短尺なクリエイティブだ。これはインストリームでも受容できる尺の長さだし、ゲームアプリなんかではプロモーションムービーを作ることが増えているので、そのクリエイティブを再編集して流用できるためにスクラッチでクリエイティブを作るより工数も少なくてすむということもある。

またユーザーが指先の操作1つで動画広告へのアクセスを自由に扱えることによって、好きな広告は見る、嫌いなら見ないという環境を作っている。これはユーザーの自由度を高めるだけでなく、コンバージョンに関するデータとして蓄積されるので、将来的には非常にパフォーマンスの高い広告配信を実現することができるのではないか、というわけだ。

もちろんFIVEはあくまでプラットフォーム。クリエイティブはクライアントサイドで作ることになるが、コンサルティングを含めて、現在ナレッジを蓄積するためにもクリエイティブ制作に関する試行錯誤は続けているそう。例えばビジュアル、音声、ロゴの掲載タイミングなど、様々に組み合わせて効果検証を実施し、5秒動画に最適なクリエイティブを模索しているという。

FIVEでは今後、ゲームやアプリケーションの効果的なプロモーションを求める広告主を中心に、配信先メディアの拡大を進めるという。また、ブランド広告主向けのプレミアム動画プロダクトも開発・展開する。第1弾としてDonuts が運営する「MixChannel」 のプレミアム動画広告を3月よりトライアルで開始しており、4月より正式販売が決定しているという。


投稿者:

TechCrunch Japan

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