「クラウド会計ソフト freee」などを提供するfreeeは8月7日、合計で約65億円の追加増資を発表した。第三者割当による資金調達で、引受先はLINE、三菱UFJ銀行、ライフカード、海外ファンドなど、合計で6社。今回の増資で累計資金調達額は約161億円となる。
freeeといえば7月2日に五反田にある同社オフィスで初となる戦略発表を開催し「スモールビジネスを世界の主役に」という新たなミッションを披露したばかりだ。今後はそのミッションを達成するため、LINEならびに三菱UFJ銀行とは連携も強化し、新サービスならびにプロダクト開発への投資を進める。
創業者で代表取締役CEOの佐々木大輔氏ならびに取締役CFOの東後澄人氏はTechCrunch Japanの取材に対し、同社は今後も「開発を加速させていく」と語った。
「これまでは(バックオフィス業務などの)効率化を加速させるのがミッションだった。これはfreeeに期待されていることなのでやり続ける。それに加えて、これからはビジネスを伸ばす支援をしていく。その会社が本業で動いている部分においても価値が提供できるサービスをやっていきたい」(佐々木氏)
東後氏は「サービスとしてできることを拡充していくためには中長期的な開発への投資が必要だ」と説明。今回調達した資金は今まで過去7回行なった調達以上に開発に充てられるのだという。
大きく投資する開発対象は3つあり、その1つがこれまでやってきたバックオフィス業務の自動化ならびに経営の見える化を加速させること。最近だとfreeeは7月2日に財務データを活用する「予算・実績管理機能」を新たにリリースし、財務・経営データを自動分析・集約した上での可視化を実現しているが、更なる領域での自動化が期待できそうだ。
2つ目はスモールビジネスに対する資金調達の支援。freeeに蓄積されたデータをうまく活用することによって、最適なパートナーから最適な手段で最適な条件で資金を調達することが可能となるシステムの構築を目指している。
3つ目はフロント業務に近い部分の業務の効率化。freeeといえば会計・給与計算などバックオフィス業務の効率化のためのツールというイメージが強いが、今後は在庫管理やプロジェクト管理などといった、よりフロント業務に近い領域のオートパイロット化を目指していくという。
LINEとの業務提携に関して、「今後は共同でサービスを開発したり、共同のサービスを展開するなども考えていければと思っている」と東後氏は話した。freee は2018年5月、「freee 開業応援パック」に、LINEが提供する店舗・企業向けのLINEアカウント「LINE@」を新規特典として追加したと発表している。今後の業務提携に関して、「LINE@のユーザーに対しfreeeを提供、freeeユーザーに対しLINEのサービスを提供することが直近まずやれること」だと東後氏は語った。
また、freeeは2017年5月に三菱UFJ銀行とのAPI連携を発表したりこれまでも業務提携を行なってきたが、連携をさらに強化していく。詳しいサービス内容は不明だが、「決済面でよりオンラインで完結するようなスペースをお客様に提供していくことは双方にとって大きなメリットとなる」と東後氏は話した。
freeeはサービス提供開始から約5年で利用事業所数が100万を突破、「BCN RETAIL- 3強が戦うクラウド会計ソフト」によるとクラウド型会計ソフトおよび給与計算ソフトのシェアでNo.1。佐々木氏は「今回調達した額は日本の中ではかなり大きく、時価総額も結構な額になっている。上場をちゃんと選択肢としてとれるように、準備を進めている」と述べた。