Gillmor Gang:プラットフォーム


今回の共和党大会では、党のプラットフォーム(政策綱領)は採択されなかったものの、多くのことが行われた。メディアはこれをトランプ・カルト現象への屈服だとみなしたが、「現状を打開するために立候補しているのだから、当然じゃないか…」という意見については巧みにはぐらかした。しかし、メディアによる枠作りの水面下で、重要な疑問が生まれている。我々が現在直面している毒気に満ちた状況から抜け出すには、いったいどのようなプラットフォームが必要なのだろうか。

数年とは言わず、ここ数か月だけでも、テクノロジー業界は前例を凌ぐ新しいプラットフォームを作ろうと躍起になってきた。WindowsやPCというデスクトップの世界からモバイルへのシフトは、そのような新しいプラットフォームへの根本的なシフトの例だろう。Google(グーグル)とApple(アップル)という二大勢力による高性能スマホの支配は、破壊的なパンデミック発生に合わせたような完璧なタイミングで、通知と動画ストリーミングの新たな言語を作り出した。我々が使うデバイスは今や、愛する人たち、経済、将来のために生き続けるという闘いの最前線に欠かせないものとなっている。

Zoom(ズーム)はもちろんその代表格だ。モバイルが実現できることとできないことを示している。在宅勤務という考え方は、もう少し掘り下げると、何を家(ホーム)とするのか、仕事とホームとの違いは何なのか、という問題になると思う。我々の生活は、スマホ、スマートウオッチ、iPad、ノートパソコン、テレビとの関わりを中心に形成されている。筆者の場合、起きてから最初にやることは、夜のうちに海外から(そして朝方には東海岸から)配信された通知の山を確認することだ。そのペースは日によって変わる。週末の休み気分が消えていく月曜日は通知の数が非常に多く、週中は特定の話題にフォーカスした、中身のあるものが多い。金曜日になると「やっと週末だ」という雰囲気になる。通知の種類は、Eメール、テキストメッセージ、メディア最新情報、仕事用スケジュールのリマインダーなどだ。

新しいプラットフォームとは何だろうか。市民メディア、インフルエンサーネットワーク、はたまたロイヤル・オポジション(主権を尊重したうえでの反対意見や立場)と呼ばれることもある発信元から配信されるライブストリーム通知である。このロイヤル・オポジションとはつまり、主流メディアを信用しないということだ。これは筆者だけが感じていることかもしれないが、番組司会者が主要ニュースのヘッドラインを繰り返しアナウンスし続け、関係者の映像、医療関係の宣伝をエンドレスで流し続けるケーブルテレビ型の番組を観ていると、はじめは音声をミュートにし、そのうちにテレビのスイッチを切ってしまいたくなる。そうして筆者は通知の山に戻る。新しく契約するかどうかは、リンクをクリックするかどうか、または、そもそも通知の配信を許可するかどうかで決まる。

前述のような新しいメディアは、1つまたは複数でネットワークを形成し、「クリックするだけで参加可能」という手軽さを前提としてZoomを皮切りに普及した世界規模のクラウドサービスの数々を使って情報を発信している。加えて、いわば有名ネットワークであるFacebook Live(フェイスブック・ライブ)、Twitter(ツイッター)/Periscope(ペリスコープ)、YouTube(ユーチューブ)があり、もしあなたがBrent Leary(ブレント・レアリ―)みたいな人で先行招待を受けていればLinkedIn(リンクトイン)もある。さらに、Restream(リストリーム)やStreamYard(ストリームヤード)から、JustStreamまで(Just Streamは筆者が勝手に作った架空企業)、複数のプラットフォームに同時配信できるストリーミング・アクセラレーターも数多くある。これらの同時配信サービスは、以前であれば何千ドルもかけて無数のケーブルを設置しないとできなかったことを、ソフトウェアとわずかなハードウェアだけで実現している。今はまだ初期段階ではあるが、メディア大手による買収が進んでいけば、従来メディアに取って代わる存在になる日も近いだろう。

そんなことは起こり得ない、と思うだろうか。ストリーミングがテレビ業界や音楽業界をどれだけ揺るがしてきたか考えてみてほしい。また、ポッドキャストやニュースレターが今、再び勢いづいているし、デジタルコマースやマーケティングのツールとしてメッセージアプリが急速に成長している。パンデミックのせいで、劇場は閉鎖され、イベントや旅行ができなくなり、経済活動の大部分や、生活の中で感情的な支えとなるものに、壊滅的な影響が及んだ。しかし、デジタル改革を推進するウイルスの力をあえて止めずにその役割をまっとうさせるなら、進化と順応の新たな混合状態から勝者が台頭するのを後押しすることになる。

テクノロジーはこれまで、人間味のない冷たいものだとみなされることが多かった。しかし今、我々は、非接触型ショッピングのためにロボットと仲良くならなければならない。今回のGillmor Gang動画の冒頭でFrank Radice(フランク・ラディス)が、トランプ政権が政治的な目的のためにワシントン記念塔という米国のシンボルを乗っ取ったことに驚いていた。しかし終盤では、今とは違う結果になるかもしれないと、希望を持っている様子だった。我々は今、自分の意見を発信するためにさまざまな方法を活用できる時代に生きている。フェイクニュースや抑圧に負けずに、花火で自分の名前を宣伝するという方法もある。「抑えるのはウイルス、投票ではない」。これが我々のプラットフォームだ。

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Gillmor Gang出演者:Frank Radice(フランク・ラディス)、Michael Markman(マイケル・マークマン)、Keith Teare(キース・ティアー)、Denis Pombriant(デニス・ポンブリアント)、Brent Leary(ブレント・レアリ―)、Steve Gillmor(スティーブ・ギルモア)。2020年8月28日(金)にライブ撮影。

制作・監督:Tina Chase Gillmor(ティナ・チェース・ギルモア)@tinagillmor

@fradice、@mickeleh、@denispombriant、@kteare、@brentleary、@stevegillmor、@gillmorgang

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(翻訳:Dragonfly)

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TechCrunch Japan

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