GMが排ガス規制闘争でトランプ氏を捨てカリフォルニア州を支持

General Motors(GM、ゼネラルモーターズ)は、州(具体的にはカリフォルニア州)が気候変動を緩和するために連邦政府より厳しい排ガス規制などの規則を制定できるかどうかの戦いで、立場を変えた。

米国時間11月23日同社は、カリフォルニア州が独自のルールを決めるのを妨げるDonald Trump(ドナルド・トランプ)政権の訴訟を支持するのを止めると語ったと Reuters(ロイター)が報じた。CEOのMary Barra(メアリー・バーラ)氏はいくつかの環境保護団体に書簡を送り、同社が「この訴訟から直ちに手を引き」他の自動車メーカーにも同調を求めていることを伝えたとされている。

GMの決定は大きな方向転換であり、2019年に同社は競合のFiat Chrysler(FCA、フィアット・クライスラー)、Toyota(トヨタ)ともにこの問題についてトランプ政権支持を表明した。次期大統領Jor Biden(ジョー・バイデン)氏の就任を間近に控えたいま、この転換は戦略の範疇と考えられる。またこれは、今後5年間に電気自動車と自動運転技術に270億ドル(約2兆8200億円)を投入して市場参入を加速しようというGMの決定とも一致している。

「州権」の問題はトランプ氏とカリフォルニア州を巡る法的闘争の中心をなしている。Clean Air Act(クリーンエア法)の下、カリフォルニア州は独自の排ガス規制を実施する権限を持っている。州の大気汚染委員会は、トランプ政権が燃費基準に関するオバマ時代のルールを後退させたにも関わらず、前年比2.7%の燃費向上を2026年まで続けることを標榜した。

この問題で自動車業界は二分された。BMW(ビー・エム・ダブリュー)、Ford(フォード)、Honda(ホンダ)、Volkswagen of America(米国フォルクスワーゲン)の各社は、より厳格な排ガス規制を遵守することでカリフォルニア規制当局と合意(The New York Times記事)に達したが、GM、FCA、およびトヨタは業界団体のAssociation of Global Automakers(世界自動車メーカー協会)に同調した。

トランプ政権側についたメーカーは批判の的となり、それは気候・環境保護団体からだけではなかった。Fordもそこに加わり、2020年9月に「California Innovation(カリフォルニア・イノベーション)」と銘打った広告キャンペーンまで行い、GMブランドのChavy(シェビー)、FCAのJeep(ジープ)、トヨタを厳格な排ガス基準に同意していないと煽り立てた。

関連記事:GMが2025年までに電気自動車開発に2.8兆円投資、「リーダーシップを失うつもりはない」

カテゴリー:モビリティ
タグ:GM

画像クレジット:GM/ Photo by Steve Fecht

原文へ

(翻訳:Nob Takahashi / facebook

投稿者:

TechCrunch Japan

TechCrunchは2005年にシリコンバレーでスタートし、スタートアップ企業の紹介やインターネットの新しいプロダクトのレビュー、そして業界の重要なニュースを扱うテクノロジーメディアとして成長してきました。現在、米国を始め、欧州、アジア地域のテクノロジー業界の話題をカバーしています。そして、米国では2010年9月に世界的なオンラインメディア企業のAOLの傘下となりその運営が続けられています。 日本では2006年6月から翻訳版となるTechCrunch Japanが産声を上げてスタートしています。その後、日本でのオリジナル記事の投稿やイベントなどを開催しています。なお、TechCrunch Japanも2011年4月1日より米国と同様に米AOLの日本法人AOLオンライン・ジャパンにより運営されています。