Googleがまたも活動家社員を解雇、特権的アクセスを乱用したという理由で

Google(グーグル)はまたも活動家の社員を解雇した。解雇されたKathryn Spiers(キャスリン・スピアーズ)氏は、プラットフォーム・セキュリティーチームで、ウェブサーフィン中の社員に会社のガイドラインやポリシーを自動的に通知するブラウザーツールのコードを主に書いていた。

ピアーズ氏によると、Googleは彼女が同僚に労働者の権利を教えるためにブラウザー通知を作ったために解雇したという。同氏がそのツールを作るきっかけは、Googleが組合つぶしの会社を雇ったというニュースや、Googleが組織化を試みた社員に報復措置をとったとの疑いからだった。通知には「Google社員には『保護された団結行動』に参加する権利がある」と書かれていた。

「Google在籍中、同社に全幅の信頼を寄せ、常に疑わしきを罰せずとして来た人たちが、Googleはあらゆる理由をつけて労働者を標的にしていると言うように変わるのを見てきた」とピアーズ氏はTechCrunchに話した。「会社は社員のそんな気持ちを裏切り、Googleに対する信頼を失わせるような行動を繰り返してきた。私がブログに書いたように『透明性のないGoogleは、信頼できないGoogleだ』」。

そのブラウザーツールを作ったことに対して、Googleは事前警告なくピアーズ氏を解雇したとされている。それはGoogleがサンクスギビング・フォーと呼ばれる4人組を解雇したのと同じ日の出来事だった。4人はGoogleは自分たちが組合を作ろうとしたために解雇されたと主張した。同氏によると、Googleは3回にわたって彼女を尋問し、組織運動や職場を混乱させる意図があったかどうかを追及した。

「取り調べは非常に攻撃的で違法なものだった」とピアーズ氏はMediumに書いた。「弁護士とも誰とも相談することは許されず、職場で権利を行使したことについて、私や同僚に罪を負わせようと執拗に圧力をかけた。そして12月13日の金曜日、Googleは会社のセキュリティーポリシーに違反したとして彼女を解雇した。

「特権的アクセスを乱用して社内セキュリティーツールを改変した社員1名を解雇した。これは重大な違反行為である」とGoogle広報はTechCrunchに話した。。Googleの技術基盤セキュリティー・プライバシー担当のバイスプレジデントであるRoyal Hansen(ロイヤル・ハンセン)氏は社員宛てに送ったメールで「ピアーズ氏はチームの許可なくビジネス的正当性もなくポップアップを作成した」と書いた。

「はっきりさせておきたい。この問題はメッセージがNLRB(全国労働関係委員会)の通告や労働者の権利に関係していたことが理由ではない」とハンセン氏は書いた。「この決定はポップアップがどんな内容であった場合でも同じだった」。

「周知の通り、我々は社員が当社の社内ツールやシステムに対する特権的アクセスを適切に遂行すると信じている。セキュリティー・エンジニアとして持っていたアクセス権を乱用したことは信頼責任に対する許されない違反行為である」と同氏は付け加えた。

現在ピアーズ氏は弁護士を立てて不当労働行為の訴訟を準備している。全国労働関係委員会に提出した訴状の中で同氏の弁護士は、Googleによる尋問および解雇は「ピアーズおよび他の社員が保護された団結行動の権利を行使することを阻止するために行われた」と主張している。

ピアーズ氏がMediumに書いた記事によると、Google社員の中には作業効率を上げるためや趣味や関心を共有するためにコードを改変している者もいるという。彼女は昨年のストライキの際に、何者かがデフォルトの壁紙をLinuxペンギンが抗議のプラカードを持っている画像に変えたことにも言及した。

「会社はこのような行動に対して攻撃的対応を行ったことはかつてなかった」とピアーズ氏は書いた。「常に称賛されている会社カルチャーの一部とされている」。

Kathryn Spiers氏

一連の出来事は、保護された行為である組織活動を理由にGoogleがサンクスギビング・フォーを解雇したことに対し、4人が全国労働関係委員会に不服申立てを行ったのに続くものだ。11月にGoogleは、Rebecca Rivers(レベッカ・リバーズ)氏とLaurence Berland(ローレンス・バーランド)氏を会社ポリシーに違反したとして休職にした。当時Googleは、一人は業務に関係のない機密文書を検索、共有し、一人は一部のスタッフの個人カレンダーを盗み見たと語った。二人を支援する抗議の後、リバーズ氏とバーランド氏は他の二人の社員とともに解雇された。

サンクスギビング・フォーは、臨時雇用、ベンダー、契約社員らに対するGoogleの扱い方や、組織活動した社員に対する報復措置、税関国境警備局と会社の関係などさまざまな話題を取り上げていた。

ピアーズ氏も同様にさまざまな問題について組織活動を行っていた。Googleに入社した最初の週に同氏は、軍用ドローン契約を更新しないよう会社に要求する書簡に署名した。Googleの税関国境警備局との関係についても活動を組織した。

「Googleは税関国境警備局が人種差別や外国人嫌悪の移民ポリシーを強制する手助けをすべきではない」とピアーズ氏は言った。「Googleの警備局との関係について社内で投稿したが、コミュニティーの管理チームに削除された」。

昨年のストライキ以来、何人もの社員が組織活動を理由にGoogleから報復を受けている。ストライキ主催の中心人物だったMeredith Whittaker(メレディス・ホイッテカー)氏とClaire Stapleton(クレア・ステイプルトン)氏は報復措置を報告した。その後ホイッテカー氏ステイプルトン氏はGoogleを辞めてそれぞれの生活を送っている。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

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TechCrunch Japan

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