Googleが支援するインドのDunzoがデリバリー事業拡大で48億円調達

既存の食品・グローサリー配達ビジネスやeコマース大手にとって脅威となりつつあるインドのスタートアップが、インドで事業を拡大するために新たな資金調達ラウンドをクローズした。

バンガロール拠点のDunzoは米国時間10月4日、新たなラウンドでGoogle、Lightbox Ventures、STIC Investment、STIC Ventures、3L Capitalから4500万ドル(約48億円)を調達した、と発表した。この件に詳しい情報筋3人によると、シリーズDの本ラウンドによりバリュエーションは2億ドル(約214億円)になっととのことだ。Dunzoはこれまでに8100万ドル(約87億円)を調達している。

創業4年のDunzoは超ローカルな配達サービスを展開している。ユーザーは近所のスーパーやレストランから、グロサリー、生鮮食品、ペット用品、薬、料理などあらゆるものを入手できる。

しかも、それだけではない。市内であればなんでもピックアップ・配達する。家にラップトップPCのチャージャーを忘れたら、Dunzoがオフィスまで届けてくれる。このサービスの魅力は配達が迅速なことで(配達のほとんどは25分以内に行われる)、店がかなり遠くにあるという場合を除き、料金は1ドル以下だ。

Dunzoは現在、インド国内8都市で事業を展開している。バンガロール、デリー、ノイダ、プネー、グルガーオン、ポワイ、ハイデラバード、そしてチェンナイだ。同社は今回調達した資金を同社のテックインフラの拡大と、中小企業に大企業と戦うチャンスを提供するための提携の促進にあてるとしている。

業界予測によると、インドのeコマースの売上高は小売全体の3%にも満たない。数万もの市町村やスラムにあるパパママ・ストアやご近所の店が小売の大半を占める。こうした小規模・零細の小売店が事業を拡大するために初めてテクノロジーを活用するのをサポートしようというスタートアップがインドでは増えつつあり、Dunzoはその1社だ。

「各都市にとって最も効率的なロジスティックソリューションをもつ、インドで最大のコマースプラットフォームを我々は順調に構築しつつある」と共同創業者でCEOのKabeer Biswas(カビアー・ビスワズ)氏は語った。

サービス規模が拡大するにつれ、DunzoはBigBasketSwiggyZomatoといった食品・グローサリー配達のスタートアップのライバルになりつつある。ビスワズ氏は、食品部門がすでに全配達の4分の1を占めている、とTechCrunchに明らかにした。

ここ数カ月、Dunzoはスマートフォンや他のプロダクトのテスト配達も行っている。直近ではインドの一部のエリアのユーザーにスマートフォンを届けるため、Xiaomi(シャオミ)とタイアップした。スマホを配達するのに1日か2日かかるAmazonやFlipkartと違って、Dunzoは30分以内にスマートフォンをユーザーに届けている。また、Pumaとも同様の提携を結び、テスト配達を行ったとのことだ。

調査会社Convergence Catalystの創業者でアナリストのJayanth Kolla(ジャヤント・コーラ)氏は「ユーザーに新しい電話を30分以内に届けることで、Dunzoは速やかな満足を提供することができる。これは購入を決める際に重要な役割を果たすが、インドにおけるeコマースプラットフォームはこうした満足感を提供できていない」とTechCrunchに対し語った。

しかしDunzoの事業規模は大手に比べると小さい。今日、Dunzoは1カ月あたり200万件の注文を処理していて、昨年初めの5万件から増えている。これに対し、SwiggyとZomatoは1日あたりオーダー300万件超をさばいている。そしてこの2社はかなりの資金調達も行ってきた。

面白い風の吹き回しで、先月Swiggyはいくつかの町で、ユーザーが食品だけでなくあらゆるものをその町の中ならどこでも配達してもらえるサービスとしてGoを発表した。これはDunzoの領域に進出したことを意味する。Swiggyが食品配達以外にサービスを拡大する一方で、Zomatoは食品ビジネスの出入りでシェアを高めようとしている。

TechCrunchが以前報じたように、創業11年のZomatoは社内でKisanと呼んでいる、農家や漁師から直接食品を調達するプロジェクトに取り組んでいる。同社は、こうした食品を保管する倉庫をデリー南部やプネーなどにすでに構えている。

画像クレジット:Getty Images

[原文へ]

(翻訳:Mizoguchi)

投稿者:

TechCrunch Japan

TechCrunchは2005年にシリコンバレーでスタートし、スタートアップ企業の紹介やインターネットの新しいプロダクトのレビュー、そして業界の重要なニュースを扱うテクノロジーメディアとして成長してきました。現在、米国を始め、欧州、アジア地域のテクノロジー業界の話題をカバーしています。そして、米国では2010年9月に世界的なオンラインメディア企業のAOLの傘下となりその運営が続けられています。 日本では2006年6月から翻訳版となるTechCrunch Japanが産声を上げてスタートしています。その後、日本でのオリジナル記事の投稿やイベントなどを開催しています。なお、TechCrunch Japanも2011年4月1日より米国と同様に米AOLの日本法人AOLオンライン・ジャパンにより運営されています。