MicrosoftがGoogleのChromebookプロジェクトを警戒したのは正しかったようだ。マーケティングコンサルタント企業NPDの最近の調査によると、Chromebooksは2013年に合衆国の企業が購入したコンピュータの10%近くに達し、ラップトップ分野の21%を占める。前年比は、と言いたいところだが、前年の数値は統計的有意に達していない。Appleは商用分野で影が薄い存在だから(驚くなかれそのシェアは1.8%だ)、 Chromebookのシェア拡大はWindowsのそれを奪った結果である。
数年前まで、Chromebookは笑いものにされていた。それは性能の悪い単能機のラップトップで、それにできる唯一のこと(Webを閲覧)すら、満足にできなかった。価格は安いのに、誰も関心を向けなかった。初期の売上は無に等しく、Googleのハードウェアパートナーたちも、Googleの機嫌を損ねないためにいやいや付き合っている、という風情だった。プロジェクト全体が、最初から死を宣告されているようだった。
しかし、なぜかGoogleはこのプロジェクトに固執し、そして2年前ぐらいからChromebookは、どうやらこうやら、ラップトップ市場に小さな歯型を残すまでになった。しかも、企業向けだけではない。Amazonの今週の発表によると、今年のクリスマス商戦におけるラップトップの、売上上位3機種のうち2機種が、Chromebookだった。
2年前のChromebookは、もっぱら学校向き、とされていた。たしかに、当時は学校にしか売れていなかった。しかし昨年になると、何かが変わった。Googleはハードウェアパートナーのより多様なエコシステムを構築し、その中にメジャーなラップトップメーカーのほとんどすべてが含まれるようになった。Lenovo、HP、Toshiba、そしてAcerだ。このうちLenovoだけが、製品を教育用に限定している。〔Dellも来年1月にChromebookを発売。〕
1300ドルのPixelでもってGoogleは、ハイエンドのChromebookもありえる、ということを身をもって示しさえした。ぼくの勘では、Pixelは売れた台数よりも今年のI/Oカンファレンスでデベロッパたちにおみやげした台数の方が多いと思う。Pixelは良くできたハードウェアだったが、いまどきラップトップに1300ドルも出すのはプライベートジェット族ぐらいしかいない。しかし、Pixelが出たことによって世間は、Googleはこのプロジェクトに本気だ、と感じた。そして、ハードウェアパートナーたちと企業顧客の心を、向けさせることに成功したのだ。
昨年は、ChromeOSも、芸が一つしかできないサーカスの子馬から、“本物の”オペレーティングシステムへ一歩近づいた(とくにUIが、Webブラウザ的からふつうのPC的に変わり、ブラウザしか動かせないラップトップという印象が薄れた)。Microsoftは執拗に、Chromebookはインターネットに接続してないと何もできないと指摘したが、Googleの技術者たちはオフライン機能の充実に力を注いだ。それに今では、どんなコンピュータも、インターネットなしでは何もできないだろう。
今のChromebookは、2010年にGoogleがブロガーたちに贈ったプロトタイプ機Cr-48とは似ても似つかない。MicrosoftがこのところテレビCMでしきりにChromebookをつっつくのも、企業の世界でマーケットシェアを失うことを、おそれているからだ。Microsoftが心配するのも、当然である。
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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))