GoogleのCloud Platformが自社の高速ネットワークを使わない低能力な廉価版ネットワーキングを提供

Googleのクラウドプラットホーム(Cloud Platform)に、廉価版が加わる。これまでの高級版(Premium Tier)は、できるかぎりGoogle自身の高速ネットワークへユーザーのトラフィックをルートして、中継と距離を最小化する。そして今度の安価な標準版(Standard Tier)では、トラフィックを一般の公共的なインターネットにルートし、起こりうる速度低下や中継の増加を我慢していただく。これからのデベロッパーは、そのどちらかを選べる。

Googleのインフラ担当SVP Urs Hölzleは曰く: “これまでの18年間で、Googleは世界最大のネットワークを築き、今ではそれがインターネットの全トラフィックの25-30%を配達していると推定される。Premium Tierではその同じインフラを享受できるが、しかしユースケースによっては、安価で低能力なネットワーキングを選んでもよい。両者を合わせたサービスをNetwork Service Tiersと呼んでいるが、アプリケーションごとに、もっとも適したネットワークをお選びいただける”。

北米およびヨーロッパでは、標準版は高級版より24-33%安い。また課金方式は、高級版ではトラフィックの起点から終点までの距離で計算されるが、標準版は距離は関係なく、起点がどこにあるかによって、料金が異なる。

今現在は、Google Cloudの全ユーザーがいわゆるPremium Tierを使っている。トラフィックはできるかぎりGoogle自身のネットワークを通り、そして同社のエッジネットワーク上に存在する100あまりのグローバルポイントのどれかで、よりワイドなインターネットへ渡される。ちなみに、このように、できるかぎり長く起点ネットワークがトラフィックを保持する方式をcold-potato routing(コールドポテトルーティング)と呼ぶ。この方式では遅延が最小化され、トラフィックはGoogle自身のケーブルを通るから、パケットロスも少ない。このことは、アプリケーションからユーザーへの往路だけでなく、ユーザーからアプリケーションへの帰路についても、同様に言える。帰路ではトラフィックはできるだけ早くGoogleのエッジネットワークに渡され、そして企業のデータセンターへと旅をする。

新たにできたStandard Tierでは、トラフィックはGoogleのネットワークではなく一般的な(公共的な)インターネットへ渡される。そしてトラフィックは、ネットワークからネットワークへ、ISPからISPへと中継されるから、当然、単一のネットワーク上より遅くなる。クラウドサービスでも、Googleのような大きな自前ネットワークを持ってないところを使うと、このStandard Tierと同じ結果になる、とGoogleは宣伝っぽく言っている。

この二種類のネットワーキングのパフォーマンスの測定と公共的なモニタリングを、GoogleはCedexisと協働して行っている。当然ながらStandard Tierではスループットが遅く、遅延(レイテンシー)は高い。より顕著なのは、レイテンシーの違いよりもむしろ、スループットの違いである。

なお、Standard TierではGoogleのグローバルロードバランサーとCloud CDNが使えない。代わりに、リージョン内のロードバランサーを使わなければならない。

アプリケーションの特性やニーズによって、どちらのネットワーキングを使うべきか迷ったときは、Googleが作った下図のフローチャートを使ってみよう:

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

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TechCrunch Japan

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