Googleが今日(米国時間9/29)、10年前にGoogle Apps for Your DomainからGoogle Apps for Workに改名したサービスをまたまた改名し、今度は“G Suite”にする、と発表した。おしゃれな名前、かな?どうかな? ついでにGoogleは、そのG Suiteを構成する主なアプリケーションのアップグレードを発表した。それらは、Drive, Docs, Spreadsheets, Slides, Calendar, Hangouts, などなどだ。〔関連記事。〕
ところで、: G Suiteとは?
Googleの主張によると、この名前は、人びとがどこにいても一緒に仕事をし、イノベーションを推進していけることを表しているのだそうだ。ま、いいか。
G Suiteの製品管理のトップRyan Taboneによると、この名前は、それが単に個々のアプリケーションの集合ではなくて、それら全体が一体的な集まりであることも明言しているのだそうだ。
また今後は、G Suiteの全製品にわたってマシンインテリジェンスの利用を拡大していく*。それは、Googleがこれまで10年以上一貫して投資してきた分野だ。そしてすでにこの技術は、Word Lensによるインスタント翻訳や写真の画像認識などで利用されている。昨年ローンチしたInboxのSmart Replyもそうだ。〔*: マシンインテリジェンス, machine intelligence, 最近は人工知能(artificial intelligence)がやや古語になり、代わってmachine intelligenceがよく使われる。〕
今日のGoogleの発表では、今後マシンインテリジェンスをもっと多くのサービスに導入していくが、その手始めはGoogle Driveだ。
Android上のDriveに最近導入されたQuick Access機能は、通常の検索を使わないことによって、目的のファイルを見つける時間を半減する。ユーザーがファイル名をタイプする前に機械学習機能が必要なファイルを推測し、その候補を画面上部に列挙する。
この機械学習機能は、ユーザーの過去のDrive利用履歴や、同僚との対話、会議やスプレッドシートの利用など仕事のパターン、などなどから、候補のファイルを選び出す。
同じく、すでにAndroidにあるGoogle CalendarのSmart Scheduling機能は、近くiOSにも提供され、年内にWebにもやってくる。これもやはり機械学習の能力が、ユーザーの選好などのデータに基づいて会議の時間や空いてる部屋を示唆する。
そしてGoogle Sheets〔スプレッドシート〕の検索機能Exploreでは、質問に自然言語が使えるようになる。ユーザーの、自然言語による質問を自然言語処理エンジンNatural Language Processingが公式に変換して、スプレッドシートの検索機能に渡す。
Taboneによれば、これはきわめてベーシックなビジネスインテリジェンスシステムのカーネルでもあるが、しかしさらにもっとベーシックなレベルでは、Sheetsのユーザーの1/3は、スプレッドシートの公式というものを正しく理解していない。そこで、こういう自然言語機能があれば、ユーザーは公式のことを忘れてSheetsをより有意義に利用できる。
Explore機能はSheetsだけでなくDocsにも実装され、作成編集中の文書に役立つと思われる関連記事や画像などを推奨する。Drive中の関連文書も、その対象になる。
またGoogle Slidesは、レイアウトの提案をする。画像をスライドにドロップするだけで、提案が得られる。まだ画像の内容の分析はできないが、色や解像度を手がかりにレイアウトを判断する。
Team DrivesがチームのDrive利用を管理
以上のような、既存のアプリケーションの機能拡大に加えて、Team Drivesと呼ばれる新しいプロダクトが発足する。
このアプリケーションはGoogle Driveに貼りついて、コンテンツの所有権や共有をチームのレベルで管理する。チームといっても、これまでよりも小さな粒度での管理が可能だ。このアプリケーションをベースに、チームはクラウドストレージのスペースを共有する。このような新しいチーム管理機能のために、Google Driveのコードも一部書き換えられた。
共有とその管理機能がこれまでDriveになかった方が不思議だが、でもTaboneによると全般的に業界の傾向として、これまでは個人々々の生産性アップに力を入れてきたといえる。チームワークを意識するようになったのは、ごく最近だ*。〔*: Microsoft Officeなども。〕
現状では、Team DrivesはEarly Adopter Programからしか利用できない。さらにそのあとには、少数のユーザーを対象とするプレビューで提供される。
Google Hangoutsのアップグレードバージョンも、ある種のEarly Adopterプログラムから、企業のリクエストに応じて提供される。そのニューバージョンは、ダウンロードもプラグインも不要になり、アカウントやデータ接続のない者でも、どんなデバイスからでも参加できる。ビデオの参加者は、最大50名だ。Calendarを統合し、インスタントな画面共有や録画ができる。
ニューバージョン用にこれまで開発してきたHangoutsのそのほかの新機能も、今後少しずつ導入されていく。Taboneはそれらを具体的には言わなかったが、自動書き起こしや入呼分析などは当然、提供されるだろう。