Google Cloudがハイパフォーマンスコンピューティングのワークロードに対応した新ストレージオプションを提供

米国時間6月16日、Google Cloudは新しいストレージのオプション、Filestore High Scaleのベータ版提供開始を発表した。これは既存のFilestoreサービスの新しいティアで、分散型のハイパフォーマンスストレージオプションへのアクセスが必要なワークロードで効果を発揮する。

Filestore High Scaleは、Googleが2019年に買収したElastifileの技術をベースにしている。これを使うことで、ユーザーは数十万のIOPS、数十GB/秒のスループット、数百テラバイトの共有ファイルシステムをデプロイできる。

ハーバード大学医学大学院Wagner Labのポストドクター研究員で、すでにこの新しいサービスを利用しているChristoph Gorgulla(クリストフ・ゴーグラ)氏は、次のように語っている。「従来の実験方法よりもずっと短い期間で有望な処置法や治療法を見つけるために、仮想スクリーニングで標的タンパク質に対して数十億の小分子を計算してスクリーニングできる。我々研究者が、わざわざ複雑なファイルシステムクラスタのセットアップや管理の方法を学んだり、常にストレージシステムの状態を監視したりすることは、まずできない。我々に必要なのは、vCPUが数十万もの膨大なクライアントから同時に生成される負荷を扱えるファイルシステムだった」。

標準のGoogle Cloud Filestoreサービスはすでにこのようなユースケースをサポートしているが、Filestore High Scaleはハイパフォーマンスコンピューティング(HPC)のワークロードに特化して構築されているとGoogleは述べている。今回の発表で同社は、特に新型コロナウイルス(COVID-19)に関連するバイオテクノロジーの用途を強調している。Filestore High Scaleは数万クライアントの同時利用をサポートするためのものだ。このようなユースケースは必ずしも標準的ではないが、必要とする開発者にとってはGoogle Cloudでこのようなパワーを利用できるようになった。

GoogleはHigh Scaleに加え、FilestoreのすべてのティアでNFS IPベースのアクセスコントロールをベータとしてサポートすることも発表した。これはハイパフォーマンスでフルマネージドのファイルストレージサービスを必要とし、しかもセキュリティ要件が厳しい企業にとって重要な新機能だ。

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(翻訳:Kaori Koyama)

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TechCrunch Japan

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