クラウドソーシングで道の画像を無料データベース化するMapillaryをFacebookが買収

クラウドソーシングによる道の写真のデータベースを使った世界の地図製作でGoogle(グーグル)などに対抗するスウェーデンのスタートアップMapillary(マピラリー)が、Facebook(フェイスブック)に買収されたことを、同社がブログで公表した。買収の条件については明かされていない。

Mapillaryのスタッフとプロジェクトは、Facebookの大規模なオープンマッピングの取り組みの一部となる。Mapillaryによれば、同社の「OpenStreetMap(オープンストリートマップ)の関与は維持される」という。Mapillaryの共同創設者でCEOのJan Erik(ヤン・エリク)氏は次のように書いている。

Mapillaryは創設初日から、誰でも画像やデータを入手して、よりよい地図が製作できるようにする世界中の道の画像プラットフォームの開発に関わってきました。私たちのプラットフォームには数万人もの協力者があり、日々、Mapillaryのデータで地図が改善されています。私たちはその旅の次なる大きな一歩を踏み出しました。

エリク氏が指摘するように、Facebookは「機械学習、衛星画像、地図製作コミュニティーの協力を利用して地図を改善するツールと技術を構築している」ことが知られている。そのソーシャルネットワークの巨人にとって、地図製作には、Facebook Marketplace(マーケットプレイス)や地方のビジネスへ地図の提供、さらには拡張現実への応用といった直近の使用事例がいくつもある。

この動きは、2月にTechCrunchが報じた、別のヨーロッパのスタートアップScape Technologies(スケープ・テクノロジーズ)の先日の買収にも現れている。2017年に設立されたScapeは、コンピュータービジョンをベースにした「ビジュアル・ポジショニング・サービス」を開発していた。GPS単独では得られない、ずっと高精度の位置情報を必要とするアプリの製作を可能にするものだ。この技術は、当初は拡張現実アプリをターゲットにしていたのだが、交通、物流、ロボティクスに応用しても大きな力が発揮できる可能性を有している。Scapeはさらに範囲を広げ、カメラを搭載したあらゆる機器が周囲の状況を理解できるようにしたいとも考えていた。

Mapillaryは、誰もが参加できる最新の「オープン」プロジェクトでもあり、そこへFacebookからの資金が入った。昨年12月、同社は英国のAtlas ML(アトラス・エムエル)を密かに買収している。Atlasは、機械学習に関する論文とコードを無料で提供するオープンな情報源「Papers With Code」(ペーパー・ウィズ・コード)の管理会社でもある。

Mapillaryに話を戻そう。同社は「画像、地図データ、そしてあらゆる地図の改善」のためのグローバル・プラットフォームとして今後も存続することを強く主張している。「今後もこのプラットフォームへの画像のアップロードや、プラットフォームに存在するあらゆる地図データの利用が可能」だとエリク氏は話す。商用利用許諾のランセンスも変更されるという。

以前から、私たちのプラットフォームで利用できるすべての画像は、非商用利用に限り、誰もが使えるようオープンで、無料で提供されてきました。その形を維持しつつ、さらに一歩進めるために、本日より商用利用も無償化します。Mapillaryにアップロードされたすべての画像が、オープンで、パブリックで、あらゆる人が利用できる状態を保つことにより、新しい使用事例の道が開かれ、カバー範囲と利用範囲が大きく広がり、あらゆる地図製作に恩恵がもたらされることを私たちは期待しています。これまで私たちは、プラットフォームの構築と運営のために商業化に注力する必要がありましたが、Facebookとひとつになることで、Mapillaryは、あらゆる人に無料サービスをという創設当初からのビジョンに近づくことができました。

画像クレジット:Mapillary

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(翻訳:金井哲夫)

投稿者:

TechCrunch Japan

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