アプリストアの検索は、探すアプリの名前が事前に分かっているとき以外は苦痛そのものだ。とくに、インターネット人口が急増している新興市場では、スマートフォンは安物、低料金前払いのインターネット接続は途切れがち、ということが多いから、その苦痛は甚だしい。
そこでAptoideのようなサードパーティのアプリストアが、新興市場のニーズに応えようとする。Statcounterによれば、同社は最近、400万ドルの資金を調達した。同社がアプリを提供するのは、全世界のスマートフォン用オペレーティングシステムの70%近くを占めるAndroid用のアプリだ。
ポルトガルで2011年にスタートしたAptoideは現在、そのアプリストアでAndroid用とAndroid TV用のアプリを提供している。本社はポルトガルのリスボンだが、シンガポールにもオフィスがある。後者は、東南アジアの市場に対応するためだ。また中国の深圳では、数社のハンドセットメーカーとパートナーして、途上国市場におけるプレゼンスを拡大しようとしている。中国のOEMたちは今ますます、今後の急成長市場である東南アジアやラテンアメリカなどの市場に注力している。
Aptoideは2013年に100万ドルのシード資金を獲得し、今回のシリーズA 400万ドルはe.venturesがリード、これに中国のGobi Venturesと東南アジア向けVC Golden Gate Ventures、さらに既存の投資家Portugal Venturesが参加した。新たな資金の主な用途は、東南アジアとラテンアメリカの市場開拓、ユーザベースの拡大、アプリの数の増加、そして戦略的パートナーのさらなる増だ。
AptoideのCOOで協同ファウンダのAlvaro Pintoによると、2015年には同社のアプリストアから1億人がアプリをダウンロードした。一人あたりのダウンロード数は、アクティブユーザの場合で月に6〜8本だ。そして同社の過去三年の売上成長率は各年で前年比100%増、すなわち倍増、倍増、また倍増のペースだ。東南アジア市場だけでは三倍の増、今後はラテンアメリカでも同様の急成長が期待される。
“健全でよく成長する市場のためには、アプリストアがGoogle一社のみではまずい。複数の選択肢が必要なんだ”、と彼は述べる。
今Aptoideが提供しているアプリはおよそ50万種、中にはFacebook, Instagram, WhatsApp, Clash of Clans, VLCなどの定番のほかに、Googleが同社のストアでは禁じているYouTubeのビデオをダウンロードできるアプリなどもある。アプリの開発には同社独自のSDKを使うことによって、アプリ内購入などによる収入を可能にしている。最大の稼ぎ頭は、依然として広告だけど。
Pintoは曰く、“サードパーティのアプリストアは今後の市場が大きいから、誰でも参入できる”。彼は、中国ではアプリストアがすでにたくさん誕生している例を挙げる。Googleのサービスは中国政府の検閲を受けるため、それがGoogle Playにとっても足かせになっている。
中国のストアが国内市場に限定しているのに対し、PintoとAptoideはグローバルをねらい、そのためにハンドセットメーカーの多い深圳にも本拠を置く。アプリの多くは、デバイスの出荷時に機に同梱される(プレインストールされる)から、中国の検閲うんぬんには引っかからないのだ。Pintoによると、今ではJollaや、Android機もあるNokiaをはじめ、60社のキャリアやOEMと契約している。
また、インターネットの接続状態が悪く、スマホは安物、ストレージも小さいという地域のユーザのために同社は、Aptoideの‘ライト’バージョン(軽量バージョン)を作った。それは誕生後1か月にもならないから、発表できるデータはあまりない。
さらにAptoideには、ユーザがアプリのリストを自分で編集し、それらをソーシャルメディア上で共有しあう、というサービスがある。ユーザ数とアプリのダウンロード数が年々倍増しているのも、情報の共有と拡散のためだ。
“YouTubeには、チャネルとそのプレイリスト、という独特のユーザ参加システムがあるけど、うちの共有化アプリリストは、ユーザ一人々々のアプリチャネルと考えることができる。リストに写真を載せて共有することもできる。これらの共有の広がりは、エンドユーザだけでなく、デベロッパたちも利用している。自分たちのアプリの、人気の良し悪しを、知ることができるからね。またデベロッパが作ったリストをユーザと共有すれば、良いプロモーションにもなる”、とPintoは語るのだ。