昨夜(米国時間5月13日)のSaturday Night Liveでは、”Alexa Silver”というパロディ広告が流された。それはAlexaがどのように高齢者の相手をすることができるかというもので、たとえば長くて繰り返しの多い話を(適当に相槌をうちながら)聞いたり、たとえ“Alaina”、“Allegra”、“Aretha”といった適当な名前で呼ばれても、質問に答えられたり、といったものだ。
とはいえ、今日(米国時間5月14日)のTechCrunch Disrupt NY 2017ハッカソンで示されたように、Alexaを高齢者のために利用すること自体はとても良いアイデアだ。
このハッククリエイターであるBrett Krutianskyは、ボストンのノースイースタン大のコンピューターサイエンスの学生だ。彼は祖父母がより多くのケアを必要としているところから”Elderly Alexa “(高齢者Alexa)のアイデアを思いついたと言う。彼の祖父は認知症を患っており、彼の祖母は視覚に問題を抱えていて、さらに2人とも目眩の症状がある。
このため彼の母親は両親の健康を心配し続けていて、家の両親たちに電話がつながらないときなどには、取り乱して近所に電話をかけることもある。Krutianskyは、このハックは、母親の気持ちを少しでも穏やかにしたくて母の日のプレゼントとして作ったものだと言う。
彼が作成した音声アプリ(Amazonの用語では”Alexa Skill”)はEchoスピーカー上で動作し、特別なケアが必要となる家族に対するインターフェイスを提供してくれる。
“Elderly Alexa”に対して、高齢者たちが「Alexa, medicine」と呼びかけることで、Alexaにどの薬を飲む必要があるのかを尋ね、そしてどの薬を既に飲んだのかを知ることができる。また同時にこのやりとりによってAWS Lambdaイベントがトリガーされて、ケアをしている家族に対して電子メールを送信することができる。
Alexaは、薬に対するユーザーの質問に対して、服薬の必要な薬の名前、量、そしていつ頃飲めばよいかに関する答を返す。
その後Alexaは、ユーザーにもうその薬を服用したかと尋ねる。ユーザーの答えが「はい」「いいえ」のどちらでも、ケアをする家族に対して電子メールが送信される。
さらに、他の家族は別途提供されるiOSアプリのto-doリストに項目を送り返したり、あるいは薬のことを思い出させるために電話をかけたりすることができる。アイデアとしては、この毎日の電子メールが届かない場合には、離れた家族は何か良くないことが起きている可能性を知り、グループチャットルームの他のメンバーと話し合うことができるようになるということだ。例えば、家族の誰かがその日両親の家を車で訪問することを決めたりすることなどが可能になる。
もちろんKrutianskyが言うように、 このAlexa Skillは、高齢者だけでなく、追加のケアを必要とする人誰もが利用することが可能だ。
このプロジェクトに使われているテクノロジーは、AWS(DynamoDB、Lambda&SES)に加えて、AlexaコードにはNode JavaScript、iOSアプリにはSwift、チャットルームのAPIにはPubNubといったものだ。
Hackathonの後、Krutianskyは、この先チャットシステムをより使いやすくする作業をし、プッシュ通知システムを改良することで、iOSのリマインダーリストに追加が行えるようにして、ケア提供者が何をする必要があるかを思い出せるようにしたいと述べた。
彼はまた、将来的には、他の必要なことについても祖父母に思い出して貰えるような機能を付け加えたいと語った。
「(認知症を患う)私の祖父はときどきシャワーを浴びることを忘れてしまいます」と彼は言う。「私の母は、祖父が今日シャワーを使ったどうかを知りたいと思っています」。Alexaは服薬についてのやり取りと同時に、シャワーのことについても彼にリマインドすることができる。
世の中には、高齢者のケアのために特別に設計された他のデバイスもあるものの、KrutianskyはEchoスピーカーの普遍性とコストが利点であると考えている。
彼はIntuition Roboticsのスピーカーを例として挙げながら「こうしたものが数百ドルするのに対して、これは50ドルです」と、Echo Dotを指差した。
Krutianskyは、すぐに母親が使えるように、機能をAlexa Skill Storeに公開する予定だ。
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(翻訳:Sako)