Heekはウェブサイトを製作できるチャットボット

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スタートアップのHeekは、ウェブサイトの製作をチャットの会話と同じくらい簡単にしようとしている。同社の会話型インターフェイスではチャットボットがいくつかの質問をユーザーに投げかける。ユーザーのビジネス、製作しようとしているウェブサイトについての質問だ。そして、その質問の答えによってカスタマイズされたデザイン候補の中から気に入ったものを選択できるというわけだ。製作プロセスが進むにつれて、チャットボットがユーザーの負担を軽減するための助け舟も出してくれる。

現存するチャットボットの多くはWebサービスとの相性が良いとは言えない。また、チャットボットならではの制限的な性質からイライラさせられることも多い。

しかし、ウェブサイトを会話をしながら製作するというHeekのアイデアは、プロのWebデザイナーを雇う資金を持たなかったり、基本的なWeb製作サービスも難しいと感じる小規模ビジネスのオーナーに受け入れられる可能性は高いだろう。screen-shot-2016-10-03-at-10-40-19-am

Heekを利用するのは驚くほど簡単だ。Heekのウェブサイトでスタートボタンをクリックすると、チャットボットがユーザーの名前、会社の名前、ビジネスのタイプなどを質問する。その後、チャットボットがおすすめするデザインのテンプレートを選択するのだ。テンプレートのタイプには、Eコマース向けのデザインや、有名人向けのサイト、チャリティ向け、サービス業向け、ニュースや食べ物、音楽、スポーツ、教育、ペットなどの「メディア/エンターテイメント」向けのデザインなどがあり、選択肢は豊富に用意されている。

サイトのカテゴリーに沿ったテンプレートは、「Next design」、「Previous design」と書かれたボタンをクリックすることで選択することができる。

Webサイトに必要な要素をユーザー自身が考える代わりに、Heekがアイテムをおすすめしてくれる。例えば、会社の住所やコンタクトフォーム、ページを移動すためのナビゲーションメニューを追加するようにおすすめしてくれるのだ。提案されたアイテムを導入するためには、「OK」ボタンをクリックするだけでいい。導入しない場合には、「No thanks」をクリックする。するとHeekが次の提案をしてくれる。

製作するサイトの種類によっては、より高度なカスタマイズをすることも可能だ。ユーザー自身の写真をアップロードしたり、製品情報や価格などを追加することができる。

しかし、Webサイトのデザインがすべてテキスト・ベースのやり取りで完了するわけではない。写真を取り換えたり、テキストを編集するためにはWeb版のビルダーを使う必要がある(スクリーンの右側に編集中のサイトの見た目が表示されるようになっている)。

写真やテキストの編集に関する明確な説明はないが、カーソルを写真に合わせると「写真を編集」という文字が表示されるなど、比較的操作は分かりやすいだろう。同じく、テキストをクリックすると文字を編集することができ、フォントやサイズ、見た目(太文字やイタリック文字)の変更をすることも可能だ。

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提供されるテンプレートは柔軟にカスタマイズすることもできる。大半の「WYSIWYG(What you see is what you get、見たままが得られる)」Webサイト・ビルダーのように、数多く用意されたサイトの部品をドラッグ・アンド・ドロップでカスタマイズすることが可能だ。

しかし、Heekを利用するうえでテキストや写真の編集について頭を悩ませる必要はない。「箱から出したらすぐ使える」Heekでは、テキストの例文や写真素材を提供してくれるため、サイト製作の面倒くささをより軽減してくれる。

Heekの利用料金は月に30ドル、年間契約ならばひと月あたり25ドルだ。この料金にはWebサイト製作サービス、専用のドメイン名、サーチエンジン最適化、そしてカスタマーサポートも含まれている。

しかし、Heekが本当に優れているのはサービスを試してみるために料金を支払ったり、アカウントを作成することが必要ない点だ。Webサイトのスタートボタンを押せば、すぐにサイト製作に取り掛かることができる。完成するまでにまだ時間が必要なのであれば、その後14日間は無料でサービスを利用することができ、Webサイトもそのまま維持される。

Heekは昨年の終わりにNicolas Fayonによって創立された。FayonはFacebookページのカスタマイズ・ツール、PageYourselfを開発する会社を共同創業した経歴を持つ人物だ。

「私たちがすぐに気がついたのは、(中小規模のビジネスオーナーは)オンライン上のプレゼンスという点に関して、皆が同じ問題を抱えているということです。時間的なリソース、そしてWeb製作に関する知識の無さです」とFayonは創業の理由を説明している。「私たちはその問題の解決策を考えてきました。そして、その解決策とは他のエージェンシーが提供するものと同等のサービスを、安価に提供することだと気づいたのです」。

また、Heekのチャットボットを利用するユーザーが増えれば増えるほど、ボットは賢くなっていくとFayonは語る。

今、同社はWix、Weebly、GoDaddy、Squarespaceなど、Webサイト製作サービスを手掛ける数多くの企業の一つとなった。しかも、Heekはこれらの競合が提供する従来のドラッグ・アンド・ドロップ形式のビルダーよりもシンプルなサービスをつくり上げた。これらの会社の代わりにHeekの競合となるのは、Powerpointのように簡単にサイトを製作できるというコンセプトを持つPageCloudなどの新しいサービスだろう。The Disrupt NY 2016の勝者であるAlexaSiteもまた、声だけでWebサイトの編集をするというアイデアを持ったプロジェクトだ。しかし、あくまでAlexSiteはハッカソンのプロジェクトであり、現在すでに利用可能なサービスではない。

Heekはこれまでベータ版のみの提供であったが、先週にバージョン1をリリースし、これまでに約2500人のユーザーがHeekを利用しているとFayonは話す。

10名のチームを抱えるHeekはパリを拠点とし、過去にフランスのOK Investから70万ユーロを調達している。

[原文]

(翻訳: 木村 拓哉 /Website /Facebook /Twitter