誰もが知ってるように、HPはそのパブリッククラウドビジネスに終止符をうち、そっちはAWSやMicrosoftやGoogleに譲る、と言っている。その代わり同社は今、プライベートとハイブリッドのクラウドに専心しつつある。プライベートクラウドといえば、今のところ唯一の現実的なオプションがOpenStackだから、同社はHelion OpenStackと名づけた独自のOpenStackプラットホームを1年前から提供している。そして今日同社は、そのOpenStack商用/エンタプライズディストリビューションのバージョン2.0を発表した。
HPのクラウド担当SVP Mark Interranteによると、HPがパブリッククラウドビジネスから脱退したことは、同社がこれからプライベートとハイブリッドのクラウドに大きく注力していくことを意味する。“それは、いよいよ焦点が絞られてきたということであり、最良のプライベートクラウドを顧客に提供し、ハイブリッドの管理を加速し、我が社のクラウドのハイブリッド的資質をより強力に打ち出していかなければならない”、という。
Helion OpenStack 2.0はOpenStackの’Kilo’リリースの実装だが、最新リリースは今月初めに出た’Liberty’だ。しかし、プロダクション向けには最新リリースを採らないとする保守的な姿勢が、この世界の標準慣行でもある。そこでHO 2.0には、Kiloリリースの新機能がすべてあるとともに、HP独自の新しい機能もいくつか盛り込まれている。
Interranteによると、HPのチームはOpenStackの標準リリースに独自のキュレーションを加え、穏健妥当な構成デフォルトをセットし、内部および外部の脅威に対するセキュリティを強化している。またバグフィクスに関してはできるかぎり最新リリースからバックポートしているが、最新リリースの新機能はバックポートしていない。
KiloリリースにHPの独自の仕事を加えたHelion OpenStack 2.0には、ダウンタイムののないローリングアップグレードや、アプリケーションを中断しない継続的パッチ管理、アドミンインタフェイスの改良によるログとモニタリングの中央集中化、といった機能がある。またネットワーキング機能はHPのDistributed Cloud Networkingサービスを統合して分散データセンター環境を管理できる。このほか、Nuage NetworksのVirtualized Services Platformもサポートしている。
そしてさらに、HP独自の機能としてユーザインタフェイスのあるインストーラや、ロードバランサ、ファイヤーウォール、VPN SaaSなどがある。opsコンソールもHP独自で、クラウドの状態をオペレータがモニタし、現状や問題点をよく理解できるようにしている。
Interranteと彼のチームによると、顧客はセットアップのカスタマイズよりも構成の自由を求めている。そこでたとえば新しいHelionのLifecycle Management(ライフサイクル管理)サービスを利用するとクラウドのレイアウトを指定でき、僅かな作業でそのインストールをリプレイできる。
HPのOpenStack担当エンジニアは210名おり、そのサブプロジェクトのチームリーダーが8名いる。またこのプロジェクトのTechnical Committeeには3名が参加している。