HTML5の規格決定から一周年、それはもう未来技術ではない

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[筆者: Shikhir Singh](Senchaのデベロッパリレーションズ担当シニアマネージャ)

今日(米国時間10/28)は、World Wide Web Consortium(W3C)がHTML5の規格策定事業の完了を宣言してからちょうど一周年になる。それは、インターネットとWebアプリケーションの開発の歴史における、重要な節目だ。これまでの1年間でHTML5の採用は爆発的に伸び、HTML5へ移行してリッチな、そしてクロスプラットホームなWebアプリケーションを提供する企業が日に日に増えた。最近ではAmazonやFacebook、Google、YouTubeなどオーディエンスの多様性の激しい大手サイトでさえも、AdobeのFlashからHTML5へ移行した。その動機は、何だろう?

実は数年前から、デバイスやディスプレイの種類に依存しないシームレスで優れたユーザ体験を志向するデベロッパの多くが、HTML5で開発をするようになっていた。しかし2015年には、多くの企業がモバイルファーストを重視するようになり、そのためエンタプライズ向けのソフトウェアを構築するための信頼性の高い、普遍的な(機種やディスプレイを問わない)開発ベースとしても、HTML5が選ばれるようになった。

HTML5の実力は、かなり前から知られていた。2012年に、発言の影響力が甚大なMark ZuckerbergがHTML5をけなしたが、その3年後にはFacebookのニューズフィードのアップデートの実装をHTML5で行った。HTML5前とHTML5後を比較したデモを、ご覧いただきたい。

HTML5によるWebアプリケーションの開発が進んでいる大きな理由が、三つあると思う:

高度な規格に技術がやっと追いついた

HTML5への移行を促進した要因は、HTML言語本体のイノベーションだけでなく、Webアプリケーションを動かすブラウザの進化も大きい。まず、今のブラウザは数年前に比べても相当速い。MicrosoftのInternet Explorerの支配が徐々に崩れて、Google Chromeのような新しいブラウザが、Webクライアント技術の高速化と効率化を誘導した。Flashが衰退し、HTML5のリッチなマルチメディア能力への関心が高まり、ブラウザの基本機能の枠内でビデオの高速な再生などが可能になった。動画==プラグイン依存は、過去の遺物になった。

「技術革新」と「デベロッパの選好」と「エンタプライズのニーズ」、この三つのものが交差するところに、HTML5の未来がある。

Samsungの8コアプロセッサが象徴しているように、モバイルデバイスの処理能力が高まり、HTML5の採用が促進された。

以上のような技術的進歩によって、HTML5に盛られている高度な表現要請が、ブラウザのレベルで十分に、実装可能になった。今ではエンタプライズにおいてさえ、HTML5が標準技術になりつつある。

企業が求める普遍性

企業は、Webでもモバイルでも高度なアプリケーションを提供して顧客の心を掴まなければならない。しかも、当然ながらそれを、デスクトップ、タブレット、スマートフォンなど多様な機種の上で普遍的に実現しなければならない。顧客の要求は、日に日に高度になるだけでなく、変わるのも早い。そんな変化に企業が対応していくためには、高度な表現能力と高度なクロスプラットホーム性の両方を兼ね備えた技術への投資が、不可欠である。Webアプリケーションでもモバイルアプリでも、最高のパフォーマンスが必要だ。

HTML5には、企業が求める一度書けばどこでもデプロイできる(write once, deploy anywhere)という特質があるので、プラットホームやデバイスの種類がどれだけ増えても、同量の時間で複雑高度なアプリケーションを制作し管理できる。

デベロッパは楽をしたい

デジタル技術がどれだけ進歩しても、開発チームは複雑なアプリケーションをはやく納めるというプレッシャーから逃(のが)れられない。そんな彼らが今、HTML5を使い始めている。デベロッパに対するStrategy Analyticsの最近の調査によると、ネイティブアプリやWebアプリケーションを作るためのすべての技術の中で、今後の採用数の伸びが最高のものは、HTML5の20%だった。そしてビジネスアプリ/アプリケーションの63%が、すでにHTML5で作られている。

デベロッパにとって、HTML5の最大の魅力の一つがオープンなスタンダードであること。だから、モバイルの多様な機種や、ディスプレイの多様なフォームファクタ、それにプラットホームやオペレーティングシステムの違いが目の前にあっても、アプリケーションの要求を比較的簡単に満たすことができる。またリッチなコンテンツを作る場合も、デバイスやオペレーティングシステムの特性に依存することなく、抽象的で普遍的な書き方ができる。

デベロッパという人種はつねに、なるべく複数のプラットホームに通用する言語でコードを書きたいと願っている。しかもそれでいて、どんなスクリーンサイズでもユーザ体験の質が高いこと。またデベロッパとしては、雇用者や開発要件が変わっても同じスキルが使えること。Webアプリケーション開発の高速化はもっぱら、JavaScriptからHTML5への移行のペースにかかっている。

2016年と未来のHTML5…普遍的な開発言語に

私は長年、開発の最前線にいた人間なので、HTML5の登場と、それがモバイルアプリの開発に革命をもたらす可能性に、大いに感動した。「技術革新」と「デベロッパの選好」と「エンタプライズのニーズ」、この三つのものが交差するところに、HTML5の未来がある。

来年は、企業における、Internet Explorerの使用が必須であったレガシーアプリケーションの現代化が加速され、それとともにHTML5の採用が更に一段と増えるだろう。今やそんな企業でも、社員たちは職場でGoogle ChromeやFirefoxを使っている。…どちらも、HTML5のサポートが優れている。さらに今後はWindows 10の採用が増えるから、ブラウザはMicrosoft Edgeが使われるようになり、なお一層、企業世界におけるHTML5の普及が進むだろう。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa)。

投稿者:

TechCrunch Japan

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