IBMがクラウドアプリとネットワーク管理のTurbonomicを最大2179億円で買収

米国時間4月29日、IBMは顧客企業に提供する、ネットワークやワークロードを管理するAIベースのサービスを深化させる新たな買収を行った。同社が発表したのは、アプリケーションのパフォーマンス(特にリソース管理)やKubernetes、ネットワークのパフォーマンスを管理するツールを提供しているTurbonomic(ターボノミック)の買収だ。これは、IT運用に、より多くのAIを取り込む(IBMはそれをAIOpsと呼んでいる)という大きな戦略の一環である。

買収の金銭的条件は公表されていないが、PitchBookのデータによれば、Turbonomicは最後に行われた2019年9月の資金調達ラウンドでは10億ドル(約1090億円)近く、正確には9億6300万ドル(約1049億円)と評価されていた。米国時間4月29日の少し早い時間に流されたロイターの記事では、この取引は15億ドル(約1634億円)から20億ドル(約2179億円)と推定されていた。ある関係者によれば、この数字は正確だということだ。

ボストンを拠点とする同社にはGeneral Atlantic、Cisco、Bain、Highland Capital Partners、Red Hatなどが出資していた。もちろん最後のRed Hat(レッドハット)は、現在はIBMの傘下となっているので、理屈の上ではIBMも投資者だったのだ。Red HatとIBMは、通信事業者、エッジ、企業のユースケースに対応した、さまざまなクラウドベースのツールを開発してきた。

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今回の買収は、その動きをさらに拡大するものであり、また、最近のIBMが積極的に取り組んでいる分野でもあるのだ。2020年11月にIBMは、アプリケーションパフォーマンスマネジメントを自社の一員とするために、Instana(インスタナ)を買収したが、今回のTurbonomicの買収はそれを補完するものであり、2つの技術のツールは統合されるだろうとIBMは述べている。

Turbonomicのツールは、オンプレミスやクラウドのワークロード単体に対して有効なだけでなく、通常は複数のクラウド環境にまたがって拡張されるワークロードを含む、ハイブリッドクラウドアーキテクチャにおいて特に有効だ。ハイブリッドクラウドアーキテクチャは、コストや場所、その他の実務的な理由から、人々がより多くのレジリエンスを求めるアーキテクチャかもしれないが、実際のところ、管理が大変であることは間違いがない。Turbonomicのツールは、管理を自動化し、パフォーマンスを分析し、ネットワーク運用エンジニアに対して、利用上の要求を満たすための変更を提案する。

TurbonomicのCEOであるBen Nye(ベン・ナイ)氏は声明の中で「企業はアプリケーションをクロスクラウドで実行する際の規模と複雑さの課題を管理するために、AI駆動のソフトウェアを求めているのです」と述べている。「Turbonomicは、お客様に行動を提示するだけでなく、実際の行動を起こさせることが可能です。IBMとTurbonomicの組み合わせにより、たとえピーク時でも目標とするアプリケーションのレスポンスタイムを継続的に保証することができます」。

IBMにとっては、サーバーを中心としたレガシービジネスから、サービス、特に未来のインフラであるクラウドベースのネットワーク上へのサービスへの移行が進んでいることを示す、また別の兆候だ。

IBM Cloud and Data Platform(IBMクラウドアンドデータプラットフォーム)担当副社長のRob Thomas(ロブ・トーマス)氏は「IBMは、ハイブリッドクラウドとAIの企業として未来を再構築し続けます」と声明の中で述べている。「Turbonomicの買収は、この戦略を推進するために最もインパクトのある投資を行い、お客様がデジタルトランスフォーメーションを推進するための最も革新的な方法を見つけられるようにするという、当社のコミットメントを示すもう1つの例なのです」。

ネットワークとIT運用の世界におけるAIの可能性の大部分は、企業がいかに自動化に頼ることができるようになるかという点にあり、IBMはこの分野にも積極的に取り組んでいる(この技術のまったく異なる応用であるビジネスサービス分野では、同社は2021年4月、イタリアのMyInvenioを買収し、プロセスマイニング技術を自社に導入した)。

一方、自動化によって期待されるのは、運用コストの削減であり、これはハイブリッド・クラウドの展開において、ネットワークのパフォーマンスと可用性を管理するための重要な課題だ。

IBM Automation(IBMオートメーション)のゼネラルマネージャーであるDinesh Nirmal(ディネッシュ・ナーマル)氏は声明の中で「私たちは、AIによる自動化は避けられないものになり、そのことは情報を中心としたすべての仕事の生産性向上に役立つと考えています」と述べている。「だからこそIBMは、ビジネスプロセスとITにまたがるAIを活用した自動化機能を、ワンストップでお客様に提供するための投資を続けているのです。Turbonomicが加わったことで、お客様はハイブリッドクラウドのインフラ全体、そして企業全体で何が起こっているのかを完全に可視化できるようになり、そのことで当社のポートフォリオはさらに大きく前進することになります」。

カテゴリー:ソフトウェア
タグ:IBMTurbonomic買収クラウドコンピューティング

画像クレジット:sdecoret / Getty Images

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(文:Ingrid Lunden、翻訳:sako)

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TechCrunch Japan

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