IBMが今日(米国時間9/10)また、同社のクラウドサービ事業を拡大するための買収を行った。今回は、エンタプライズアプリケーションの開発の分野だ。同社が買収したカリフォルニア州San MateoのStrongLoopは、オープンソースのサーバサイドJavaScript環境〜ライブラリNode.jsによるエンタプライズソフトウェアのための、アプリケーション開発ソフトウェアを作っている。企業はそれらのツールを使って、APIを装備したモバイルアプリやクラウドベースのアプリケーションを作り、またそれらを統合して、モバイルやWeb、IoTなどのアプリケーション間を行き交う大量のデータを取り扱う。
価額など買収の条件は公表されていない。StrongLoopはこれまで、ShastaとIgnition Partnersから900万ドルの資金を獲得しており、それには2013年の800万ドルのラウンドも含まれる。
IBMによると、同社はStrongLoopのNode.js機能を、MobileFirstやWebSphereと並ぶものとして、同社の幅広いソフトウェアポートフォリオの一員に加える。Node.jsの開発フレームワークが加わることの主な利点は、各種APIを利用して大量のデータを取り扱うアプリケーションを作り、またバックエンドではそのほかのエンタプライズアプリケーションとコネクトしたい、という企業からの需要に応えることだ。しかもさらに、2013年からすでにNode.jsの開発プラットホームを提供しているAmazonなどとの競合条件も良くなる。
IBMはNode.jsが成長著しい開発フレームワークであると認識しており、それはまた顧客からの要望にも応えうるソリューションである。IBM Systemsのミドルウェア担当ゼネラルマネージャMarie Wieckは、“エンタプライズはIT全体の形を変えて、新しいチャネルに手を出し、新しいビジネスモデルを導入し、またクライアントとのエンゲージメントを個人化したいと願っている”、と述べている。“それを実現するための重要な原材料がAPIであり、StrongLoopのNode.js機能を利用して迅速にAPIを作る能力と、IBMの、クラウドプラットホーム上のJavaとAPI管理におけるリーダーシップが合わさることにより、この二つの強力な開発コミュニティの、イノベーションのポテンシャルが解き放たれるだろう”。
IBMによると、今日からNode.jsデベロッパは、IBMのPaaS Bluemixを利用できる。“StrongLoopのツールおよびサービスと、IBMのWebSphereおよびJavaの能力を組み合わせてIBMは、クライアントにJavaとNode.jsのブリッジを提供でき、それによりクライアントは、自分たちのアプリケーションへの投資からより大きな価値を取り出すことができる”、と同社は言っている。ユーザはさらに、IBMのビッグデータ分析能力や、同社のAIプラットホームWatsonにもアクセスできる。
StrongLoopにとっては、これによって同社の技術とNode.jsそのものの窓口がぐんと大きくなる。“この買収によってNode.jsがエンタプライズ世界におけるメインストリームになり、そのことが業界全体の利益にもなる”、とStrongLoopのCEO Juan Carlos Sotoが言っている。“Node.jsのオープンコミュニティのリーダーとしてわれわれは、コミュニティが引っ張るオープンなイノベーションをさらに前進させ、またグローバルでエンタプライズ級のソフトウェアおよびサービスとも帯同することにより、API経済におけるクライアントヴァリューを増大させたい”。
Node.jsはオープンソースの技術なのでIBMは、この買収を契機にオープンソースコミュニティとの結びつきをさらに強めたい意向だ。同社は、Node.js Foundationのプラチナ会員である。
このサービスの一部は直ちに可利用になるが、そのほかの部分がオンラインで提供されるのはしばらく後になる。とりわけ同社は、“StrongLoopの買収によって得られる一部のクラウド機能は、IBM IoT FoundationにIBMのPaaSであるBluemixと共に組み込まれ、セキュリティと分析機能を強化し、センサのデータからインサイトを生み出す強力なIoTプラットホームへの、エンタプライズアクセスを提供する”、ということだ。
また2016年半ばまでには中国語(繁体と簡体)や日本語、フランス語、イタリア語、スペイン語、ブラジルポルトガル語へのローカライゼーションを完成して、グローバルなサポートを提供する。