IBMとMITは本日(米国時間9月6日)、MIT-IBM Watson AI Labを高名なマサチューセッツ州ケンブリッジの地に設立するために、10年間で2億4000万ドルに及ぶ契約に合意した。
このラボは、IBMのAIのリサーチVPであるDario Gilと、MIT工学部長のAnantha P. Chandrakasanが共同議長を務める予定だ。
ビッグブルーは、IBMの研究者たちとMITの学生そして教員が、高度なAI研究を行うために、お互いがすぐ近くで仕事のできるラボに2億4000万ドルを投じるのだ。パートナーシップが生み出す知的財産がどうなるのかに関しては、現在のところ少々不透明なところが残されている。
私たちにわかっていることは:MITはこの研究に関連する論文を発表する予定であり、その一方でそのなかで生み出される優れたコードをオープンソース化する計画だということだ。知的財産の中にはIBMのプロダクトならびにサービスの中に組み込まれるものもある。MITはこの契約の一環として、AIベースのスタートアップをいくつか生み出すことをを望んでいる。
「共同ラボの主な任務は、MITの科学者たちとIBM(の研究者たち)を集めて、AIの未来を形作り、科学のフロンティアを推進することです」とIBMのGilはTechCrunchに語った。
その目的のために、両者は、IBMの科学者とMITの学生コミュニティに対して、共同研究のアイデアを提出するように要請する予定だ。幅広くなりがちな取り組みの焦点を絞るために、彼らは研究の指針となるいくつかの原則を打ち立てている。
これには、まず第1に、ニューラルネットワークに基く深層学習を使う、特定のアプリケーンを超えたゴールを目指すAIアルゴリズムの開発することや、企業の中の複雑な問題を解決するためのより一般化された方法を発見することが含まれる。
また第2に、彼らは機械学習の力を量子コンピューティングと結びつけたいと考えている。量子コンピューティングはIBMが現在特に力を入れて開発している分野だ。AIには量子コンピューティングの開発を推進する潜在力があり、逆に量子コンピューティングとそれがもたらす計算パワーもAIの開発を推進する可能性がある。
IBMのWatson Security and Healthcare部門が、ケンドールスクエアにあるMITのすぐ近くに位置していることもあり、両者はこの2つの産業界の問題に集中することで合意した。また、2つのチームは、AIが及ぼす社会的および経済的影響の、社会での理解を助けるために協力する予定だ。
これはMITとIBMの双方にとって大変大きな取引だが、Chandrakasanは、このラボはキャンパス全体のAIイニシアティブの1つに過ぎないことを明言している。それでも双方は、今回の新しいパートナーシップが、IBM内部やマサチューセッツのスタートアップコミュニティ、とりわけヘルスケアとサイバーセキュリティ分野での新しいビジネスに結びつく、多くの研究と商業的ブレークスルーをもたらすことを望んでいる。
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(翻訳:Sako)