本日、IBMは大型取引行うことを発表した。医療用画像解析を行うMerge Healthcareを10億ドルで買収し、Watson Healthに加える計画だ。
Mergeの技術は、アメリカ中の7500の医療機関で使用されていると、IBMは情報を開示した。同社はこれまで合計300億ものレントゲン写真、MRI、CTスキャン画像を解析してきた。日に日にその数字は増えている。IBMの研究者は、現在の医療データの90%は画像形式であると推測している。
これまでWatsonは、自然言語処理の開発を中心に注力してきた。話し言葉や書き言葉を解析し、一定の成果を出してきた。最近、IBMはWatsonの画像や動画の理解を進める研究を始めたとIBMのソリューションとリサーチ部門のsenior vice presidentであるJohn KellyがTechCrunchに話した。
IBMがMerge Healthcareを買収に乗り出したのは、特にこの機能を披露し、診断放射線学での分野の理解と研究を促進するためだ。
IBMはWatson Healthを今年の春に発表した。データ・ドリブンのヘルスケアを促すことが目標で、医療の専門家らが協力してWatsonを活用し、ヘルスケア体験の最適化(少なくても理論上は)を目指す。
情報が多すぎる
一日に医療従事者が取り扱う情報は、人の頭脳では把握できない量になっている。医療記録は、何百、何千ページに及ぶこともあり、人間がそれら全てのコンテンツを素早く読んで理解することは実質不可能だ。
とても複雑な医療画像に至っては、訓練された医者でも、その画像と最新の医療研究、患者の医療記録などとどのように関連するかを理解するのは容易なことではない。
「スキャンと画像を映す機械は素晴らしく改良されました。とても精細な画像や動いている映像を生成できる場合もあります。医師は、あまりに膨大な画像コンテンツに圧倒されてしまいます。Watsonはこのような複雑な画像を翻訳し、医師の理解を助けます」とKellyは話した。
レントゲン技師は特に増大する情報量への対応が課題であると、IBMと協力し、Watsonの開発の初期段階から関わっている医師のElliot Siegel博士は話した。Siegelはメリーランド・スクール・オブ・メディスン大学、診断放射線医学部の副理事で教授であり、Affairs Maryland Healthcare Systemの放射線学のチーフを務めている。
レントゲン技師が扱う画像の数は、ここ20年から25年の間に100倍にもなり、医師の中には一日10万の画像を見る場合もある。全ての画像情報を処理し、正しい診断を行うには、患者のこれまでの医療記録、研究データ、更には遺伝子情報と照らし合わせる必要がある。Siegelは、これだけ多くの情報に直面する場合、コンピューターが助けになることは明らかだと話した。
「自動的に病気を検出し、測量して病を数値で表すことができます。コンピューターの助けでそれが実現できます」とSiegelは言う。
機械が医療判断をしていると懸念を覚える必要はないとKellyは説明する。これは、人同士が協力する方法に焦点を当てていて、大量の情報を翻訳して理解するために機械の力を借りるということだと言う。
Siegel博士も賛同する。「一段と早く、賢くなるコンピューター技術をどのように活かせば、素早く診断ができるかを検証しています」。更に研究を進めば、医療の専門家の役に立つためにいかにこのようなツールを活用すべきか、そして人間が得意とすることと機械が得意とすることの双方を学ぶことも必要だと話した。
Merge Healthcareの買収はまだ完了していない。規定上の問題を解決し、株主の承認を得る必要がある。これらのハードルを超えれば、年内にも取引が完了する予定だ。
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