今週、TechCrunchはInstagramはデータのポータビリティーを欠いていると批判した。Facebookには全データをダウンロードする機能があるが、Instagramにはない。その後Instagramの広報担当者はわれわれに、「われわれは新しいデータのポータビリティー・ツールを開発している。近く、写真、ビデオ、メッセージなどInstagramで共有した内容を自由にダウンロードできるようになる」と語った。
このツールがリリースされればユーザーがInstagramから別のソーシャル画像共有ネットワークに乗り換えることが容易になるだろう。5月25日以前にリリースされれば、InstagramはEUの新しいプライバシー保護法、GDPRが定めるポータビリティーの要件を満たすことができる。
Instagramは以前からデータのエクスポートが難しいことで有名だった。たとえばモバイルデバイス上でのドラグやタップでは写真をローカルに保存できない。いったんアップロードしてしまえばダウンロードする方法がない。Instagramはスタート以来8年近くであり、ユーザーも8億人だというのにこの状態だった。一方、Facebook には2010年から設定ページにデータをダウンロードする機能がある。
われわれとしてはInstagramのアップデートが写真、ビデオ、メッセージのダウンロードだけとなるのか、フォローしている相手やフォロワーのリスト、「いいね」やコメント、ストーリーなどすべてのコンテンツをダウンロードできるようになるのか興味があるところだ。またInstagramは表示するコンテンツの解像度に一定の限度を設定している。写真やビデオをダウンロードする場合、当初アップロードしたときの解像度そのままでダウンロードできるのか圧縮されたファイルになるのかも気にかかる。Instagramの担当者に取材したところでは「実際にこのツールをリリースする際に詳しく説明するが、大局的にみて重要な点は、Instagramで共有したコンテンツを〔〕別のサービスに〕エクスポートできる能力をユーザーに与えることだ」と述べた。正確な内容を知るにはまだ少し待つ必要があるようだ。
ポータビリティーはInstagramのライバルにとって重要な問題だ。 ダウンロード・ツールがあればユーザーはInstagramに投稿したコンテンツをローカルないしクラウドのストレージにバックアップできる。しかしソーシャルネットワークにとってもっとも重要な情報は誰をフォローし、誰にフォローされているのかというソーシャルグラフだ。Instagramのアルゴリズムはこのデータをベース誰のどのような投稿をユーザーのタイムラインに表示するするかを決めている。ライバルの画像共有サービスがInstagramにかなわない理由の最大ものがこの点にある。
Instagramが他のサービスとハンディキャップなしで公正な競争をするつもりならソーシャルグラフ情報を(もちろんプライバシーに十分配慮した形で)ユーザーに渡すべきだろう。そうであればユーザーはソーシャルグラフを別のサービスにアップロードできる。とはいえInstagramが金庫の扉を開きコンテンツのダウンロードを許すようになるのは正しい方向への一歩だ。
画像:Bryce Durbin/TechCrunch
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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+)