IoTを駆使した狩猟罠センサーの新モデル、獣害対策とジビエ利用拡大を支援

狩られる側からすると決してスマートではないのだが、狩猟罠に装着できるIoT機器の新モデルが登場した。2017年9月創業のhuntechが開発した「スマートトラップ2」だ。3G通信モジュールの刷新などでバッテリー駆動時間が伸び、最長2カ月の連続利用が可能になったのが特徴。税別の販売価格は1台あたり3万3800円で、システム利用料は月額980円。同社のウェブサイトで注文できる。

スマートトラップ2は、ワイヤーで足を縛り付ける「くくり罠」や獲物が入ると檻が閉じる「箱罠」に取り付け可能で、罠が作動すると磁気センサーが検知して管理者に通知メールが送信されるという仕組み。もちろん、メールは複数人に送ることが可能。野生鳥獣による農作物の被害軽減に役立つほか、シカやイノシシなどを食材にする「ジビエ」の利用拡大にも寄与するという。

具体的には、罠の設置者に義務付けられている見回りの頻度を毎日から週1回~月1回程度にまで削減できることで、高齢化が進む猟師の負担軽減になる。また、捕獲後すぐに獲物を回収できるため、良好な状態で食用肉として流通させることが可能になる。

スマートトラップ2はGPSを内蔵しているので罠の設置場所も記録できる。3G回線を通じて気象情報なども取得可能だ。そして、これらのデータを組み合わせ、いつ、どこで、どんな状態で獲物を捕獲したかがデータベースに自動蓄積されていく。猟師の長年の経験を基に仕掛けていた罠を効率よく配置できるようになる。

現在、政府がジビエの利用拡大を推進しており、今年3月には捕獲から搬送・処理加工、販売を手がけるジビエ利用モデル地区を全国から17地区選定、2019年度にはジビエの消費量を倍増させる方針だ。huntechでは2019年夏までに、LPWA(Low Power Wide Area)通信への対応を予定、モバイル回線が届かない山間部などでの導入を目指すとのこと。また、捕獲後の食肉加工・流通プロセスのログを保存・管理するトレーサビリティ管理プラットフォームの開発など、ジビエの流通体制に関わる事業を拡大していく予定だ。

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TechCrunch Japan

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