デンマークのRobocatは、AppleのiOS製品のソフトをたくさん作ってきたが、今日(米国時間3/8)は、iPhone、iPad、それにAndroid製品でも使えるハードを出してきた。Thermodoと呼ばれるそのハードウェアは、デバイスのヘッドフォンジャックに挿入して使う温度計で、それが送信する温度データをほかのアプリケーションが利用することもできる。
Thermodoの中にあるのはパッシブな温度センサーで、それを収めている筒状の筐体は、デバイスの外に突き出る部分の長さがわずかに1/4インチだ。電源は不要で、温度データをオーディオ信号で送信し、APIがそれを温度に翻訳する。その値を利用するのはThermodoに同梱されるiOS用のアプリでもよいし、また以前に同社がリリースしたHazeやThermoのようなアプリでもよい。
Thermodoはオフラインで動作し、室内でも外でも使える。使わないときはキーリング付きの専用ケースに入れておくと紛失のおそれが少ない。同社はオープンソースのSDKを提供しているので、今後はRaspberry Pi、Mac、 Arduinoを使ったガジェットなど、どんなデバイスでもThermodoを利用できる。
RobocatのファウンダWilli Wuによると、これまではモバイルのお天気アプリ専門でやってきたが、ユーザからの要望に応えるために今回はハードウェアにちょいと脇道した。
“ユーザから、ずばり温度計ハードウェアのリクエストが来たわけではない”、と彼は説明する。“アプリに対し、星が一つだけというネガティブな評価をくれる人たちの中には、自分が今いるところの今の温度を知りたい、という要望がいくつかあった。しかしiPhone自体には温度計にアクセスする機能はないし、そのためのセンサーもない。だから、ヘッドフォンジャックに何かを挿入するという、いちばん簡単なソリューションを思いついたのだ。それがThermodoだ”。
そのほかの外付けデバイス、たとえばSquareのクレジットカードリーダーやJawboneのフィットネスバンドなどは、ヘッドフォンジャックを使ってスマートフォンとコミュニケーションしようとする。Wuによれば、しかしThermodoは、それらとはやり方が全然違う。このやり方なら今後、いろんなほかのセンサーでも使える可能性がある。
“Thermodoは、Squareのようなソフトモデム方式の製品のように、音をデータに翻訳しない”、と彼は言う*。“うちのやり方は、ありとあらゆる種類のアプリケーションに応用できる。うちのやり方では、温度を電気抵抗に変換して、その抵抗値をThermodoのAPIが読む。適当な物質や構造を見つければ、どんなものでも電気抵抗に変換できる。風速でも気圧でも明るさでも何でも”。〔*: ここでの‘音’は、ヘッドフォンジャックからの出力としての音。〕
Wuによれば、Robocat社の技術陣のトップはすでに、抵抗器の抵抗値やコンデンサの容量をこのやり方で計測しており、温度だけでなくそのほかのセンサーでの実験もすでに始めている。だから今後はThermodoの兄弟製品がいろいろ登場して、何でも測定できるようになるだろう。
ThermodoはKickstarterで35000ドルというささやかな金額を募っている。あなたも19ドル出資すると、Thermodoを一つもらえる。目標額にはすぐに到達すると思うが、ぼくとしてはRobocatの次のハードウェア製品が楽しみだ。