KaiPod Learningは今後も「ラーニングポッド」が定着すると考えている

「ラーニングポッド」はその登場以来.EdTechの世界で議論の的となってきた。これはマイクロスクール、パンデミックポッド、少人数グループ学習などと同義で、同じ年齢層の子どもが少人数で集まり、そこに指導員がついて、学校教育の代替または補完を目指すものだ。

2020年、学校の授業がビデオ中心になり、働く保護者が子どもにとってもっと魅力的で1人ひとりに合わせた教材で補いたいと求めたことから、ラーニングポッドのコンセプトがスタートした。一部のEdTechの起業家は、在宅で学ぶ子どもたちの新しい波が到来しラーニングポッドを利用できる裕福な家庭に恩恵があるだろうと予測した。Tyton Partnersの推計によると、2020年に700万人が補習ラーニングポッドに申し込み、家庭学習の支出は120億ドル(約1兆3000億円)になったという。

最初のラーニングポッドが登場してからおよそ1年が経った今、Yコンビネーター出身のスタートアップがこの急成長した学習モデルで学校教育のような役割を担い始めている。Pearson Online Learningの最高製品責任者だったAmar Kumar(アマール・クマール)氏が創業したKaiPod Learningは、在宅で学ぶ子どもを対面式の補習ラーニングポッドとつなぐサービスを開始した。

ボストンを拠点とするKaiPodは、対面でのやりとりをカリキュラムに取り入れた、オンラインで学ぶ子どもとラーニングポッドのための頼れるプラットフォームを目指している。同社はまず既存のカリキュラムのテコ入れを必要としている在宅学習の家族をターゲットにする。

KaiPodは、Sora Schoolsのようなバーチャルのマイクロスクールや地域が用意する在宅学習プログラムなど、子どもにとって最適なオンラインスクールを選ぶ保護者のサポートからサービスを開始している。これにより、子どもたちはこれまでの学校の代替として最低限の要件を満たすオンラインスクールを利用できるようになる。さらに同社は、オンラインスクールを利用する子どもにとってのコワーキングスペースのようなサービスを提供しようとしている。

クマール氏は「クラウドで社会性を育むことはできず、クラウドで子育てをすることもできません。これらは保護者が学校に期待することです。すべてをオンラインに移行したためにこうしたことが排除され、優先順位が適切でなかったことが明らかになっています」と述べた。

子どもたちは近隣のKaiPodセンターに行き、そこでラーニングコーチとコミュニケーションをとる。ラーニングコーチとは、教員でありキャンプカウンセラーでもあるとクマール氏が定義する役割だ。

コーチはオンラインの学習課題を通じて支援する一方、学校生活における社会性を取り戻す活動も指導する。ラーニングコーチはセンターでさまざまなカリキュラムを担当するが、KaiPodが成長するにあたってはこのことが品質を保証する上での難題になるかもしれない。

広い意味ではKaiPodはバーチャルスクールで学ぶ子どもが実際の学校に行く支援をしているが、状況に応じて柔軟性と多様性を持たせている。例えばある子どもは別の子どもとはまったく異なるカリキュラムで学んでいるかもしれない。つまり物理的な場所は講義のために使われるのではなく、子どものモチベーションを上げて個別の学びを共有するソクラテス式問答スタイルのゼミに使われるかもしれない。

教育におけるWeWorkなのか

クマール氏はこうしたことをラーニングポッドのインクルーシブなアプローチであると考えている。教育と同時に子育てでもあるからだ。センターは週に5日、朝8時から夕方5時30分までオープンしている。

同氏は、校外の補習モデルが学びの豊かさにつながる例として公文式を挙げた。公文式は1カ所のセンターから始まり、最終的にはフランチャイズモデルによって放課後に指導をする企業として世界最大級になった。

KaiPodの成功に関して重要なのは、コロナ禍によって関心が高まった在宅学習が今後定着するかどうかだ。National Center for Education Statistics(全米教育統計センター)によると米国で2020年から2021年に在宅学習をしている家庭の割合は3倍になったが、この数字は学校に戻ることによる変化を完全に反映しているわけではない。

KaiPod Learningは2021年に8人の子どもを集めたパイロットプログラムをボストンで実施した。クマール氏は、あるラーニングコーチがゲーム中にミドルスクールの生徒1人に学習障害が疑われる兆候を見つけ、これは少人数制で指導者が「講義形式の授業よりも子どもたちと深く関わっている」ことの表れだとした。KaiPodは今後数カ月以内にさらに5〜7カ所のセンターを開設する予定だ。

クマール氏は「我々の知名度が上がれば他の州の起業家も我々のプレイブック(つまりフランチャイズモデル)を利用したセンターの開設を希望すると考えています。愛情を込めて『KaiPod OS』というコードネームで呼んでいる我々のテクノロジーレイヤーでそうした人々を支援できます」と述べた。センターを開設する場所は、KaiPodが誰に販売をするのか、また社会経済学的にさまざまなバックグラウンドの家族が利用するかどうかを示すことになるだろう。

同氏は「現時点では教育におけるWeWorkのようなものになることに関心はありません。センターは家庭が子どもを預け、立ち寄り、ポッドで何をしているかを知ることのできる便利な場所であると考えてください」と語った。

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画像クレジット:Witthaya Prasongsin / Getty Images

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(文:Natasha Mascarenhas、翻訳:Kaori Koyama)

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TechCrunch Japan

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