Labit、「すごい時間割」の事業を譲渡へ–時間割共有サービスは「体力ある場所で成長させるべき」

設立から3年を迎えたばかりのLabitが大きな決断を発表した。同社は4月18日、自社で開発・運営する「すごい時間割」および学生領域の事業について、ジョブダイレクトに対して譲渡することを合意したことを明らかにした。7月をめどに事業譲渡を完了させるとしている。

譲渡先となるジョブダイレクトは、リクルートホールディングスの100%子会社で、求人情報サイト「ジョブダイレクト」を運営している。Labitは、2012年9月にリクルートの投資子会社リクルートインキュベーションパートナーズ2号R&D投資組合を引受先とした第三者割当増資を実施。その後相互送客や共同プロモーションをはじめとした取り組みを進めてきた中でジョブダイレクトへの事業譲渡を決めたとしている。今回の事業譲渡に伴う役員や社員等の異動、資本関係への影響はないという。

Labitによると、すごい時間割のユーザーは累計約20万人。2013年度で10万人のユーザーが増えたという。また、登録された講義データは累計110万件以上になる。総務省の統計データによると、2012年の大学生(学部)は256万人。決して多くの大学生が利用している状況ではなく、以前の取材で掲げていた目標には満たなかったが、「ユーザー数は全国1100大学以上に分布しており、ロングテールの図を描いている。感度の高い大学生が全国で広く浅く認知して利用しているのは特徴的な事例だと考えている」(labit創業者で取締役の鶴田浩之氏)としている。また事業譲渡の理由について、「これからのグロースのためには『マスに向けた施策』が必要不可欠。サービス、ユーザーのためにリソースの限られたスタートアップ企業での運用が適切かどうか慎重に検討した」(鶴田氏)とした。

鶴田氏、そしてLabit共同創業者で代表取締役社長の西尾健太郎氏の話から見えてきた、ユーザー増加のペースを遅らせた理由は“時間割”というサービスそのものの特性にあったようだ。

すごい時間割のユーザーグロースを期待できるのは、大学の前期、後期の講義を決めるタイミングのみ。そうなると当然、年間でも多くて2つの時期しか施策を実施できない。その影響は、Labitがサービスを設計した時点での想定を上回るものだったのだろうか。

現在事業の譲渡が完了していないこともあり、詳細については回答できないとするLabitだが、すごい時間割の事業譲渡後も「これからも西尾、鶴田の二人三脚で新規事業に挑戦する」(西尾氏)「2014年になって2人が入社し、直近でも5、6人にアルバイトをお願いしている。次のサプライズに向けて準備している最中」(鶴田氏)とした。

 


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TechCrunch Japan

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