例えばあなたが大企業で仕事をしていて、現在どれだけの休暇を残しているのかを知りたくなったり、新しく生まれた赤ん坊をあなたの医療保険に追加したくなったりしたとしよう。通常ならHR(人事総務)部門にメールを送ったり電話をしたりして回答を待つか、場合によっては必要な回答を得るために、複数のシステムを横断して問い合わせを行う必要があるかもしれない。
Y Combinator Summer 2018クラスのメンバーであるLeena AIは、そうした従業員の質問に即座に答えられるようなHRボットを開発して、その問題を解決したいと考えている。
このボットはSlackやFacebookのWorkplaceに統合することができて、構築時には会社規程集の情報を基に訓練を行い、OracleやSAPなどの様々なバックエンドシステムから情報を引き出すことができる。
Leena AI共同創業者であるAdit Jainによれば、同社はChatterronというスタートアップが起源だという。この会社は創業者たちが2015年にインドの大学を卒業したときに始めたものだ。その会社の製品は、人びとが自分のチャットボットを作ることを助けるものだった。Jainによれば、彼らはマーケットリサーチを進める過程で、HRの世界に強いニーズがあることを発見したのだという。その特化した要求に応えるために、彼らは昨年Leena AIを開始したのだ。
Jainは、Chatteronでの経験を通して、ボットを構築するときには、単一のテーマに集中する方が良いことを学んだのだと言う。それは基礎となる機械学習モデルが、使用されるほど性能が改善するからだ。「ボットを作ってからも、本当に価値が備わったり、本当に正確なものになったり、そして本当に役立つものになるまでには、沢山の時間と努力が必要とされます。そしてそうしたことは同じテーマを深めることでしか実現できません」とJainは説明した。
さらに、創業者たちがHRのニーズをよく知るようになるにつれて、その質問の80%は休暇、病気、経費報告といった似通ったトピックをカバーしていることがわかった。また似たようなバックエンドシステムを使用している企業も多いため、今やSAP、Oracle、そしてNetSuiteなどの、一般的なアプリケーション向けの統合機能を標準で提供できる。
もちろん、人びとは似たような質問をするかもしれないが、各社は独自の用語を使っているかも知れないし、変わった質問の仕方をする人もいるかもしれない。Jainは、そこが自然言語処理(NLP)が活躍する場所だと言う。システムは、可能な問い合わせに対する、より大きなデータベースを構築して、こうしたバリエーションを徐々に学習することができる。
同社は2017年に立ち上がったばかりだが、既に10を超える有料顧客を抱えている。彼らはその数を、この先60日間で倍増させたいと思っている。JainはY Combinatorの一員であることが、その点で助けになると信じている。パートナーたちは、チームがピッチを洗練することを手助けし、このツールを利用できる企業を紹介する手助けをしている。
彼らの最終的な目標はユビキタス(ubiquitous:どこにでも存在する)なものとなり、複数のレガシーシステムの間を繋いで、従業員たちからの全ての質問に、シームレスに答えられるようになることだ。もしそれを達成できれば、成功は間違いない。
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(翻訳:sako)