Light Phoneは現存するあらゆる携帯電話の逆を行く。小さくて薄く、充電は20日間持続し、文字通り電話をかけて受けることしかできない。まるでSports Illustrated Football Phoneの制作者が、ウィリアム・ウォーカー・アトキンソンの不巧の講演を聞いて作ったかのような、プラトン理想主義的究極の通信デバイスだ。何が一番いいかって? 値段は100ドル。
何ができるかって?何も。SIMカードを入れていくつかボタンを押して電話をかける。ブラウザーはない。ゲームもない。NFCもない。スピードダイヤルはある、これは良い、懐中電灯にもなる。そうそう、充電が20日間持つことは言ったっけ?
制作者のJoe HollierとKaiwei Tangは、ニューヨークで行われたGoogleの30週間インキュベーターでこれを作った。二人ともデザイン経験を持ち、Kaiweiは携帯電話にも関わったことがある。
「これを作り始めた理由は、真の幸せとは存在することであるとわかったからだ。それはセネカ以来あまりにも多くの賢人が書いていることだ。今や一日のあまりに多くの部分をつながって画面を見つめて過ごしていて、あまりに多くの場面で存在を失っている。われわれはLight Phoneを、人が自分の〈つながり度〉のバランスを見つける方法として作った。二度とつながるべきでない、と言っているのではない。ひと休みすることがあらゆる意味で非常に健康的であるというだけだ」
ゴールは、究極的には、電話機をできるだけ使わないこと。Light Phoneには500分のプリペイド通話時間が含まれ、USB経由で充電するが、取り出して通話をしたらすぐしまうという使い方をして欲しいと彼らは言う。出荷目標は2016年5月なので、自己認識を取り戻す手段を待つには長い時間だが、彼らにも時間をあげよう。
そして重要なこと。この端末はあまりにも素朴(いい意味で)なので、二度と買い換える必要がない。
「この電話機を新機種に買い換える必要はまずないだろう」とHollierは言う。「このプロジェクトでわれわれが言いたかったこと。テクノロジーは毎日の生活を本当に幸せにするのか?テクノロジーに反抗するつもりはないが(われわれはインキュベーターに参加し、情熱も持っている)、もう一度人間を第一に考え、長い目で見て生活を良くするテクノロジーが何かを見直すべきだと思う。Light Phoneがその全部に答えるわけではないが、これはそのための会話の第一歩であり、われわれは他にも数多くのアイデアを持っている」。
[原文へ]
(翻訳:Nob Takahashi / facebook)