共有モビリティスタートアップのLime(ライム)は米国時間3月1日、同社のバイクシェア事業に5000万ドル(約53億4000万円)を割り当てたと発表した。この投資は新しいeバイク(電動アシスト自転車)の開発に使われ、2021年中に北米、ヨーロッパ、オーストラリア、ニュージーランドの25都市に新たに拡大するための資金となるという。
同社がその目標を達成すれば、2021年末までに世界50都市でLimeのバイクシェアサービスが稼働することになる。
社内では6.0として知られている最新世代のeバイクは、Limeの最新スクーターと互換可能なバッテリーを搭載している。eバイクの追加アップグレードには、モーターパワーの向上、携帯ホルダー、新しいハンドルバーディスプレイ、前世代のケーブルロックに代わる電気ロック、自動2速トランスミッションなどが含まれる。この新しいeバイクはこの夏にローンチされ、スケールアップする予定だ。
このハードウェアのアップグレードは、当初は2020年に展開される予定だった、Jumpが開発した自転車「5.8」をベースにしている。しかし、Jumpを所有していたUberが、2020年5月に発表された1億7000万ドル(約182億円)の複雑な投資ラウンドの一環としてこのユニットをLimeに譲渡したため、それは本格的に実現しなかった。
Limeの社長であるJoe Kraus(ジョー・クラウス)氏は、最近のインタビューでこう語っている。「Jumpはすばらしいハードウェアを作りました。そして、新しいバイクでは、その上にさらにいくつかの改良を加えました」。
ハードウェアのアップグレードと拡張は、外部の投資家からの新たな資金調達ではなく、自社の運営資金で賄われたとクラウス氏は述べている。この資金調達が可能になったのは、Limeが2020年に初の四半期黒字化を達成した結果だという。
「収益化を達成する方法がわかったので、これに資金を投入するのです」とクラウス氏は語った。
Limeは新型バイクに新しいモーターを追加しただけでなく、低速での扱いやすさと、坂道を登るのに十分なパワーを持たせるためにモーターの位置も移動させた、とクラウス氏は語った。そして互換性のあるバッテリーが、おそらく収益性に直結する最も重要なアップグレードだったと同氏は付け加えた。
「当社の業務チームは街中をさまよってバイクやスクーターの車両を管理するわけですが、それによって収益性を保つとともに、手頃な価格設定を継続することが可能になります」とも。
Limeのeバイク事業への新投資は、同社のマイクロモビリティプラットフォームに電動モペッドを追加する計画が発表されてから1カ月後のことで、Limeは近所の店にちょっと買い物に行くというような短距離の用事から5マイル(約8km)ほどの距離の移動まで、都市部の移動範囲を支配しようと目指している。同社はこの春、ワシントンD.C.で600台の電動モペッドをプラットフォーム上に配備することにより、この取り組みを開始しようとしている。最終的には、今後数カ月間に「ひと握りの都市」で電動モペッドが提供される予定だ。
「都市内で5マイル(約8km)の距離を移動するためのサービスを、どうすればもっと提供できるかという構想が、当社がマルチモダリティ戦略を続けている背景の1つにあります」とクラウス氏はいう。「スクーターのある都市にeバイクのような新しいモダリティを追加したり、eバイクのある都市にスクーターを追加することで、両方のモダリティの利用率が上がるのです」。
カテゴリー:モビリティ
タグ:Lime、電動自転車
画像クレジット:Lime
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(文:Kirsten Korosec、翻訳:Aya Nakazato)