LINEのトークンベンチャーファンドが韓国の仮想通貨プロジェクトCarry Protocolへ投資

韓国・ソウルを拠点とする暗号通貨のプロジェクトCarry Protocol(キャリープロトコル)は11月7日、LINEのトークンベンチャーファンド「unblock ventures(アンブロックベンチャーズ)」からの投資を誘致したことを明らかにした。

Carry Protocol自体はオープンな暗号通貨プロジェクトだが、主導するのは韓国発のスタートアップSpoqa(スポカ)のメンバーだ。Spoqaは2011年11月にソーシャルコマースアプリをローンチし、同月開催されたTechCrunch Tokyo 2011のスタートアップバトルで審査員特別賞を受賞している。

Spoqaが運営するクラウド型ポイントシステム「Dodo」は、韓国内では1万店舗、1650万人に既に利用されている。Carry Protocolはこのポイントシステムを使うことで、オフラインコマースの世界では追跡や収集が難しかった決済データを、ブロックチェーン技術を活用して統合しようとしている。

データ統合の方法はこうだ。ユーザーがオフラインでの購買データを共有することで、トークン(暗号通貨)をポイントの形で報酬として受け取り、また店舗で使えるようにする。こうしてデータ報酬のエコシステムを構築しよう、というのがプロジェクトの狙いだ。

Carry Protocolの共同代表チェ・ジェスン氏は「店舗オーナーや顧客は我々の技術力に関心があるわけではない。(店舗オーナーは)より多くの顧客を店に集めること、(顧客は)無料でコーヒーを飲むことに関心がある。そうしたニーズを満たすことで、ユーザーがブロックチェーンについて全く分からなくてもブロックチェーンを使うようにすることが我々の目標」とコメントしている。

unblock venturesは、LINEの韓国子会社でブロックチェーン技術開発を専門とするunblock社により、2018年7月に設立された。同社はブロックチェーン・仮想通貨関連のスタートアップに投資するトークンベンチャーファンドで、1000万ドル(約11億円)規模でブロックチェーン関連のスタートアップに投資を行う。Carry Protocolへの投資は、unblock venturesが行う初の投資プロジェクトのうちの1つだ。

LINEは8月に「LINE Token Economy」構想を発表。自社開発のブロックチェーンネットワーク「LINK Chain」を基盤とした「LINEエコシステム」と、同システム内で利用できる汎用コイン「LINK Point(日本向け)」と「LINK(海外向け)」も公開している。

Carry Protocolではunblock venturesからの投資により、今後のLINEとの協力、シナジー効果も期待していると述べている。

投稿者:

TechCrunch Japan

TechCrunchは2005年にシリコンバレーでスタートし、スタートアップ企業の紹介やインターネットの新しいプロダクトのレビュー、そして業界の重要なニュースを扱うテクノロジーメディアとして成長してきました。現在、米国を始め、欧州、アジア地域のテクノロジー業界の話題をカバーしています。そして、米国では2010年9月に世界的なオンラインメディア企業のAOLの傘下となりその運営が続けられています。 日本では2006年6月から翻訳版となるTechCrunch Japanが産声を上げてスタートしています。その後、日本でのオリジナル記事の投稿やイベントなどを開催しています。なお、TechCrunch Japanも2011年4月1日より米国と同様に米AOLの日本法人AOLオンライン・ジャパンにより運営されています。