LINEの本質はプラットフォーム on プラットフォーム on プラットフォーム

Google、Apple、Facebook……ネット業界の巨人はプラットフォームになろうとしのぎを削っているが、メッセンジャーアプリのLINEもその1社。12月3日に京都で開催された会員制イベント「IVS 2014 Fall Kyoto」で、LINE執行役員の舛田淳さんが同社のプラットフォーム構築術を語った。

LINE流プラットフォームの鍵はヒト・モノ・カネ

なぜ人はプラットフォームを目指すのか。私なりの考えで言うと、ヒト・モノ・カネだと考えている。

まずヒトについては、大勢いるだけでなく、継続的にヒトが流れているか。それがなければ、プラットフォームとしてパートナーやユーザーの期待に答えられない。単純にオープン化することがプラットフォームではない。

モノで言うと、どうやってパートナーに提供してもらうかという拡張性。これは技術が関係する。

もう一つ需要なのはカネ。ビジネスモデルがきちっとしているか。ユーザーがいても、プラットフォームでいろんなモノを展開したとしても、ビジネスにならなければプラットフォームとしては成り立たない。

LINEはこの3点を大事にしながらプラットフォームを設計している。

プラットフォーム on プラットフォーム on プラットフォーム

今までのプラットフォームの歴史を振り返ると、検索であったり、ニュースでトラフィックを集めるサービスが成立している。その次はFacebook。ユーザーが情報をシェアして拡散することで人を流してきた。今のプラットフォームは何かというと、コミュニケーションアプリ。メッセンジャーが存在感を出している。

これはあまり言ったことがないが、LINEのプラットフォームの本質は、「プラットフォーム on プラットフォーム on プラットフォーム」という考え方。スマートフォンではiOSやAndroid、携帯キャリアのプラットフォームがあるが、その上にLINEというプラットフォームを建てて、その上にさらにゲームや音楽などのプラットフォームを作っている。

オーバー・ザ・トップ(OTT)サービスと言われるが、既存のプラットフォームとは共存共栄の関係を築いている。あと、意識しているのは「アプリ to アプリ」と言って、LINEは頑なにこだわっている。「アプリ to ブラウザ」ではなく、LINEというアプリから、ツムツムという別のアプリに動線を引いている。

実はLINE NEWSのMAUは500万人

さかのぼって考えると、LINEの始まりは、コミュニケーション。それからプラットフォーム宣言をして、デジタルコンテンツを配信し始めた。ゲームでは世界トップクラスのタイトルを届けていて、漫画、占い、アバターサービスもやっている。デジタルコンテンツのプラットフォームは、カテゴリを用意してパートナーに(モノを)落としこんでもらっている。

(最近ではニュースアプリに注目が集まるが)ヤフーやLINEのニュースはアプリだけで完結するとは考えていないと思う。アプリだけでなく、ブラウザも含めてニュースを見ている。LINE NEWSもアプリ単体ではなく、基本的にはLINEアプリの中でニュースを見てもらっている。

これは言っちゃっていいのかな。いまいまだと、LINEアプリ経由の利用を含めたLINE NEWSの月間アクティブユーザーは500万人。とはいえ、プラットフォームとしては1000万人くらいでなければプラットフォーム化しないと思っているので、NEWSチームには足りないと叱咤激励している。

MAUだけで言えば、某ニュースアプリよりも多いが、LINE NEWSはマスっぽいニュースのアプローチをするので、ヤフーと同じカテゴリ。Yahoo!ニュースはすごい。みんな見ている。「目指せYahoo!ニュース」というとヤフーに怒られそうだが、そこにどうチャレンジするかが、LINE NEWSのポイント。


投稿者:

TechCrunch Japan

TechCrunchは2005年にシリコンバレーでスタートし、スタートアップ企業の紹介やインターネットの新しいプロダクトのレビュー、そして業界の重要なニュースを扱うテクノロジーメディアとして成長してきました。現在、米国を始め、欧州、アジア地域のテクノロジー業界の話題をカバーしています。そして、米国では2010年9月に世界的なオンラインメディア企業のAOLの傘下となりその運営が続けられています。 日本では2006年6月から翻訳版となるTechCrunch Japanが産声を上げてスタートしています。その後、日本でのオリジナル記事の投稿やイベントなどを開催しています。なお、TechCrunch Japanも2011年4月1日より米国と同様に米AOLの日本法人AOLオンライン・ジャパンにより運営されています。