LinkedInのリード・ホフマン氏とZyngaのマーク・ピンカス氏がテック企業を育てるSPACを創設

高名な投資家で連続起業家のReid Hoffman(リード・ホフマン)氏と、Zyngaの創業者であるMark Pincus(マーク・ピンカス)氏、そしてベテランのヘッジファンドマネージャーであるMichael Thompson(マイケル・トンプソン)氏がこのほど立ち上げた特別買収目的会社(SPAC)であるReinvent Technology Partnersが米国時間8月31日に、6億ドル(約634億円)の株式公開を申請した

このSPACは、ホフマン氏とピンカス氏、そして元BHR Capitalのトンプソン氏が、テクノロジー企業と合弁する目的で作った。トンプソン氏が取締役でCEO兼CFOになり、ホフマン氏とピンカス氏は共同筆頭取締役になる。同社はニューヨーク証券取引所にRTP.Uのシンボルで上場する計画だ。Reinvent Technology Partnersが6億ドルを調達したら、その資本は同社の買収企業が決まるまで白紙委任信託に移される。

SPACはブランクチェックカンパニー(blank-check company、白紙小切会社)であり、他の企業を合併または買収する目的のために作られる。SPACは2020年に、ベンチャーが支援する企業の間で、従来的なIPOの面倒な手順を踏まなくても上場できる方法として人気と利用が高まった。過去数カ月で数社のベンチャー支援企業が、従来的なIPO過程の代わりにSPAC企業と合併した。それらは、中古車マーケットプレースのShift Technologies、LiDARのLuminarとVelodyne Lidar、そして数社の電気自動車関連企業すなわちCanooFisker Inc.Lordstown MotorそしてNikola Motorなどだ。

1月のAxiosの記事によると、ピンカス氏とトンプソン氏は、ホフマン氏をアドバイザーとして新たな投資ファンドとして最大で7億ドル(約740億円)を調達中(Axios記事)であり、その対象は事業の戦略的再構築を必要としている上場テクノロジー企業だとされていた。

8月31日の申請書類を見ると、詳細がややわかる。ホフマン氏とピンカス氏とトンプソン氏からなるブレーントラストの考えでは、このSPACはベンチャーキャピタルの新種のパートナーの一種として、これから上場するテクノロジー企業を投資対象とする。

申請書類に含まれているホフマン氏とピンカス氏の書簡を、以下に引用する。

私たちは、ある程度の規模に達した企業がイノベーションを追求し、IPO以降の長きにわたって機能の成長過程を踏んでいけるための、新しいタイプのベンチャーキャピタルが、従来のタイプに加えて必要と考える。

起業家、投資家そして企業の取締役というキャリアの全体を通じて私たちは、一部のテクノロジー企業がなぜマーケットリーダーとしての地位を維持し続けるのか、その理由を学ぶ生徒だった。人はしばしば、これらの企業を外から見てまるで事前に決まっていたかのような完全で邪魔の入らない成長の物語を想定する。しかしながら私たちが理解しているのは、そういう神話のような成長話の背後に、発明と再発明の困難なサイクルがあることだ。発明は企業が新製品を作って関連市場で成長を達成する。Amazon(アマゾン)がAWSを開発したときのように。再発明は企業がコアプロダクトとサービスを適応させて、既存の市場で成長を続ける。NetflixがDVDレンタルからストリーミングに移行したように。

多くの上場テクノロジー企業、特に資本が中サイズのところは、上記のようなサイクルが難しく、十分な数と額の投資家を揃えることが難しい。私たちはZyngaやLinkedInで上場後に発明と再発明のサイクルを追ったが、容易ではなかった。

私たちがこれから作りたい新種のベンチャーキャピタルパートナーは、次の数年間に上場するテクノロジー企業の内の1社を対象とする。それがどこになるか、今からわくわくしているが、成長と大胆さを助け維持していく。しかも大胆さと成長は、四半期ごとの結果報告というプレッシャーの中で維持しなければならない。

私たちの経験とアイデアとインサイトが、市場でトップになる企業を作ろうとする創業者やCEOが、人びとの生活に関わる製品やサービスで他社との違いを作り出そうとするときに役に立つことを望みたい。

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カテゴリー:VC / エンジェル

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

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