クラスタ管理ソフトApache Mesosを開発し、ユーザサービスも提供しているMesosphereが、Amazon Web Servicesの上でのMesosクラスタのセットアップを、わずか3ステップの作業へと簡易化するサービスElastic Mesosをローンチした。その3ステップとは、1)セットアップしたいクラスタのサイズを指定、2)AWSの認証情報を教えてやる、3)通知を受け取る方法(メールアドレスなど)を指定、以上だ。
Mesosのクラスタは通常のものでもセットアップが複雑である。そこでこの新サービスは、Mesos、フレームワークMesosphere、およびそのほかの関連ソフトウェアを、デベロッパがより容易に利用できるようにする。
MesosphereのファウンダFlorian Leibertによると、今では多くのアプリケーションにとって、データセンターがその動作環境、すなわちコンピュータだ。そこで今ではほとんどのアプリケーションが分散システムの上で動く。しかし分散している各部分を結びつけたりリソースの割り当てなどを管理する操作は、まだ手作業で行われているところが多い。そこでMesosの仕事はそういう作業に付随する複雑性を抽象化し、ユーザが複数の分散ノードから成るデータセンターを、まるで一台のコンピュータのように簡単に扱えるようにする。ユーザは、これまでのように、アプリケーションのどの部分をサーバクラスタのどこにセットアップするか、などで悩む必要がなくなる。固定的静的にサーバを割り当てるのではなく、Mesosはサーバ群の共有プールを作り、そのリソースを必要に応じて動的に割り当てる。
今ではAirbnb、Vimeo、Hubspot、TwitterなどがMesosを利用している。
Mesosは稼働時のクラスタ管理を楽にしてくれるが、最初に行うMesosクラスタのセットアップは、ZooKeeperやHadoop Distributed File System(HFDS)などのソフトウェアパッケージをインストールして、それらのあいだの接続関係を構成するなど、相当に面倒な作業である。しかもそのあとには、Chronos、Hadoop、Marathon、Jenkinsなどのフレームワークもインストールしなければならない。
しかしElastic Mesosを使うと、AWS上のMesosphereのセットアップ過程の全体が15分以下で完了する。現状ではデベロッパは、6インスタンスのクラスタか、または18インスタンスのクラスタを選ぶ。小さい方はAWSの現在の料金で1時間1.44ドルを要するが、Mesosを試用するには好適だ。大きい方は1時間4.32ドルで、本番利用に向いている。なおMesosphereの構成オプションは、今後もっと柔軟性に富むものになる予定(今は2タイプのクラスタのみ)だ。Mesosそのものはクラスタのノードを増やすだけで単純にスケールできるが、Elastic Mesosからはそれが今のところできない。…その辺を、今後改良する予定だ。
Mesosphereのサービスは無料で利用できるが、AWSのインスタンスには課金が発生する。
Mesos付きクラスタのセットアップが完了したら、その上でHadoopやApache Spark(あるいはそのほかのMesosフレームワーク/アプリケーション)を動かせる。
Leibertによると、こうやってMesosを楽に試用できるようになると、デベロッパは自分独自のMesosフレームワークを作りやすくなるだろう。Mesosなどの新しい技術を試すためにデータセンターを自由に使えるデベロッパはあまりいないと思われるが、Elastic Mesosを使えばクラスタを簡単に動かして、自分のフレームワークをほんの数時間でテスト開始できるようになるだろう。
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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))