Metro BankがP2P金融会社のRateSetterを約17億円で買収

従来型の銀行がフィンテックを買収することは目新しいことではなく、新型コロナウイルス(COVID-19)危機の中でこの傾向が続くと予想される。同様の動きの最新版は上場企業のMetro Bank(メトロバンク)からのもので、同社は米国時間8月3日にP2P金融会社のRateSetterを最大1200万ポンド(約16億6000万円)で買収すると発表した。

英国の規制当局の承認を待って、Metro BankはRateSetterを250万ポンド(約3億5000万円)の初期価格で買収し、完了後12カ月後に最大50万ポンド(約6900万円)の「追加対価」を支払う。さまざまな業績基準を満たした場合、Metro Bankは買収から3年目に追加で900万ポンド(約12億5000万円)を支払う。

取引が3段階に分けられ条件付きであることは、M&Aにおいては必ずしも珍しいことではないが、これはP2P融資ポートフォリオのリスクを反映している可能性が高い。なお今回の買収には、RateSetterの株主が保有するRateSetter Australiaの株式は含まれていない。

2010年に設立されたRateSetter(未訳記事)によると、75万人以上がこのプラットフォームを通じて投資あるいは借入を行い、40億ポンド(約5538億7000万円)の融資が発生したという。2019年3月31日を区切りとする会計年度において、同社は3300万ポンド(約46億円)の収益、800万ポンド(約11億1000万円)の税引き前損失、4200万ポンド(約58億2000万円)の総資産を報告した。

Metro BankによるRateSetterの買収は無担保融資を増やし、ひいては利益を増やすという戦略の一環であるという。興味深いことに、同社は今後もRateSetterを独立したプラットフォームとして運営し、RateSetterブランドとMetro Bankブランドの両方でローンを提供する予定である。

しかし、RateSetterにとっては1つの大きな変更点がある。Metro BankはRateSetterのプラットフォームを介して、すべての新規無担保個人ローンの資金に同社の預金を使用すると述べている。つまり、将来のRateSetterの融資はMetro Bankのバランスシートに記載される。とはいえRateSetterは、既存の同社の投資家に代わってRateSetterのローンポートフォリオと「Provision Fund」を引き続き管理し、一方でMetro Bankは「これらの既存のローンの信用リスクを負わない」と表明している。

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(翻訳:塚本直樹 Twitter

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