Microsoft、Visual Studio 2015を正式リリース

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1年前にプレビュー版、今年の4月にRC(relase candidate)版を出した後、Microsoftは今日(米国時間7/20)、 Visual Studio IDEと.NETフレームワークの製品版をリリースした。

Visual Studio 2015(VS 2015)はすでにダウンロード (購入)可能だ。しかしMicrosoftのデベロッパー向けオンラインサービス、Team Foundation Server 2015は来月までRC態勢を継続するという〔記事末注参照〕。

これと同時にVisual Studioのエコシステムに属するいくつかのサービスでもこの最新版がダウンロード可能となっている。たとえば Visual Studio Communityは個人向けの無料のVisula Studioを提供しており、7ヶ月前のリリースでそれまでの無料版から大きく強化された。この無料版はすでに500万回もダウンロードされている。また320万人以上のデベロッパーがVisual Studio Onlineサービスに登録している。Windows、Mac、Linux向けのスタンドアローンのコード・エディタ、 Visual Studio Codeも3ヶ月前のリリース以来、50万回以上ダウンロードされている。こうしたVisual Studioのダウンロードの半数はMac、Linux向けだという。

Microsoftのデベロッパー事業部の責任者でコーポレート・バイスプレジデントの“Soma”ことS. Somasegarはわれわれの取材に答えて、Microsoftはすべての主要なプラットフォームにおいてデベロッパーに適切なツールを提供するという公約を守っていくと述べた。「VS 2015のテーマはクロスプラットフォームのツールセットであることだ。デベロッパーはそれを求めている。だからわれわれはそれを提供する」とSomaは述べた。

ととえば、Visual StudioにはApache Cordovaが統合されている。そのためデベロッパーはHTML、CSS、JavaScriptを用いてiOSとAndroidアプリを開発できる。またデベロッパーはC++言語の技能を生かしてiOS、Android、Windowsアプリの共有コンポネントを書ける。またXamarinとの提携により、デベロッパーはiOSとAndroid向けの.NETアプリが開発できる。Androidデベロッパーに対して、新しいVisual StudioはAndroidエミュレータをビルトインした。

Autodeskのソフトウェア・アーキテクト、Albert Szilvasyはわれわれの取材に対して「Autodeskは新しいVisual Studioのクロスプラットフォーム機能を利用してiOSとAndroidアプリを開発する計画だ(残念ながら詳細は明かさなかった)。AutodeskにとってAutoCADなど既存のアプリのコードの一部を再利用できるメリットはさほどでもないが、デベロッパーが新たなツールセットを一から学ばずにすむのは大きい」と述べた。

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「デベロッパーに豊富な選択肢を提供するのが今回のVSのアップデートの主要なテーマの一つだ」とSomasegarは言う。それはクロスプラットフォームだけにとどまらず多様な言語のサポートにも表れている。たとえば、VS 2015はC++、TypeScript、Pythonに加えてC# 6、VB.NET 12もサポートしている。 またC#とVisual Basicにはビルド前にコードの入力時点で欠陥に対して警告を発する Light Bulbs(電球プロンプト)機能がRoslyn projectを通じて提供される。これは今年後半にオープンソース化される予定だ。

Autodeskのzilvasyによれば、新SVはコンパイルのパフォーマンスも改善されている。AutoCADは最高スペックのマシンでコンパイルするのに40分もかかっているが、VS 2015は「これを大きく短縮した」という。

Somasegarはまた「VS 2015はWindowsとLinuxのサーバーをクラウドやバックエンドとして利用しているデベロッパーに対し各種のコンテナーを利用してデプロイすることを容易にする。Visual Studioを開いてアクセスを拡大し、ターゲットとなるプラットフォームを指定すれば後は自分の必要な処理を書くだけだ」と述べた。

VS 2015には新たない多数のデバッグと診断のためのツールが加えられた。これらはすべて 単一のツールにまとめられている。

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しかし最近、MicrosoftはVisual Studioを含めた総合的なデベロッパー・サポートに力を入れている。チーム・マネジメントやDevOpsのサービス、Visual Studio OnlineやTeam Foundation Serverなどが次第に重要性を増している。新しいVisual Studioはこうしたサービスとの連携についても数多くの改良が加えられているという。

最新版のリリースにより、VSにはさらに多数のバージョンが存在することになるが料金プランは下記のとおり。

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今日のリリースに伴って、MicrosoftはHumanitarian Toolboxに協力して、VS 2015を利用して災害時に人々を助けるプログラムを提供した。新しいアプリはオープンソース・プロジェクトとして今日からGitHubで公開されている。

〔日本版〕日本のMicrosoftのVS2015ダウンロードページによれば、「7 月 29 日まで、このリリースでは Windows 10 向けの開発をサポートしません。ユニバーサル Windows アプリを開発している場合、7 月 29 日までは引き続き Visual Studio 2015 RC を使用してください。」とのこと。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

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TechCrunch Japan

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